ICTとは? 今さら聞けないICT教育とIT教育の違い

「IT」にコミュニケーションの要素を加えた「ICT」。近年よく聞かれるようになった言葉で、いまや国際的にもITよりICTというワードの方が普及しているのが現状です。
では、ICTとは具体的にどのようなもので、またICT教育とIT教育では何が異なるのでしょうか。ICT教育のメリット・デメリットにも触れながらわかりやすくご紹介します。
そもそもICTとは
ICTは「Information and Communication Technology」の略で、日本語に訳すと「情報通信技術」のことを指します。よく似た言葉に「IT(情報技術)」がありますが、そこにコミュニケーション(通信・伝達)の要素を加えた言葉がICTです。
情報処理などの技術を指すITに対し、ICTはインターネットなどの通信技術を用いた情報・知識の共有に重きを置いた言葉だと言えます。近年では、日本はもちろん国際的にも「IT」ではなく「ICT」と表現することが多く、政府の資料でも「ICT」が多く使われています。
一見、難しい内容のように思えますが、実際にはスマートフォンで同僚と連絡を取る、外出先でノートパソコンやタブレット端末を使用して書類の作成・送付を行うなど、多くの人が無意識にしている行動もICTを活用しているものです。
ICT教育とIT教育の違い
近年は教育現場におけるデジタル化もかなり推進され、少し前から「IT教育」、最近では「ICT教育」という言葉を目にする機会も増えました。では、この両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
IT教育とは
IT教育とは、その名の通りIT(情報技術)を教育に導入することです。「教育のIT化」と言い換えることもできるでしょう。
大人の目線では、学校といえば1クラス約20~40人ほどの生徒が教室に机を並べ、教師が黒板などに板書をし、生徒がノートにそれを書き写すというスタイルを想像する人が多いのではないでしょうか。
そんな昔ながらの教育現場にコンピュータや電子黒板などITを取り入れ、効率化を図るのがIT教育です。ほかにも、プロジェクタの活用やワープロソフトを使った学習用ツールの導入などもIT教育の一環として挙げられます。
ICT教育とは
前述のようにIT機器などを教育現場に導入しても、それをうまく活用できなければ意味がありません。ICT(情報通信技術)を駆使してIT機器を活かしていく取り組みをICT教育といいます。
たとえば、専用ソフトを活用して表・式・グラフなどを関連付けて学ぶ、資料を加工・編集してプレゼンテーションを作成・披露するといった生徒側の学習活動に関する取り組みのほか、成績処理や評価を行うために専用ソフトを活用するなど教職員の業務効率化を図る取り組みも見られます。
ICT教育は文部科学省が公表する「教育の情報化ビジョン」の一つとして位置づけられているなど、今後もより推進されていくことが期待されている分野です。
ICT教育のメリットとデメリット
ICT教育には多大なメリットがある一方で、懸念されているデメリットもあります。ICT教育を取り入れる際には、デメリットに対策しながらメリットをより効果的に発揮させることが重要です。
ここからは、メリット・デメリットをそれぞれ5つご紹介します。
【メリット1】これまでは難しかった内容の実現
ICT機器をうまく活用すると、これまでの授業では実現が難しかった内容を生徒に体験させることができます。たとえば、ビデオ会議ソフトを使えば、学校や家にいながら海外の学校の生徒・教師とお互いの顔を見てやりとりする異文化交流が可能です。
また、図形問題をタブレット端末上で実際に動かしながら考えるなど、映像や音声、Webサイトなどの活用でも授業の幅は広がり、よりわかりやすい説明ができるようになります。
【メリット2】生徒のモチベーションアップ
メリット1でご紹介したようにさまざまな体験ができたり説明がわかりやすくなったりすることで、生徒の興味・関心を集めやすいこともICT教育の大きなメリットです。
また、従来の授業では教師からの一方通行になりがちな場面も多く見られましたが、タブレット端末などを駆使すれば主体的・協同的な授業を行うことができ、これもモチベーションアップにつながります。
さらに、一人ひとりのレベルに応じて出題を変える、特別な支援が必要な子供たちをサポートするといったことも、ICTを活用すれば容易になります。
【メリット3】教職員の作業の時間短縮
扱う対象が紙ではなく電子データになることで、答え合わせや成績管理といった教職員の作業の自動化・半自動化が図れる場合も多くあります。また、インターネットの活用により情報収集の時間も短縮できるなど、ICTを活用することでさまざまな作業の時間短縮につながります。
【メリット4】効率的な学習の実現
単に教科書の文字を読んだり、計算式をノートに書いたりといった作業に比べ、タブレット端末での学習を楽しむ生徒は非常に多く見られます。教師からはもちろん生徒同士のやりとりでも、テキストのみでは伝えづらい内容を画像や動画で伝えられるため、楽しみながら効率的に学習することができるのです。
また、電子黒板の内容をワンタッチで生徒のタブレット端末に共有することなどもできるため、板書を書き写す時間が短縮でき、その時間を表現力・想像力・思考力などを深める学習に当てられるのもメリットです。
【メリット5】教職員間でのスムーズな情報共有
紙の資料と異なり、電子データの資料は共有が非常に簡単です。資料を人数分コピーするといった手間もなく、例えば共有フォルダに保存しておくだけでほかの教職員も閲覧することができるため、クラス間での授業内容の共有なども容易に行えます。
【デメリット1】端末購入費や管理・修理のコスト
ICT教育の導入にはICT機器の購入が伴います。特に、生徒1人ひとりが使用するタブレット端末などは個人購入とされることもあり、その場合は保護者に負担がかかるため理解を得づらいこともあります。
また、個人所有のもの・学校所有のものともに、日常的な管理や故障時の対応にもコストがかかります。費用はもちろん、情報漏洩などに気を配る必要もあり、保護者や教職員の負担増につながらないかと懸念する人も多くいます。
【デメリット2】ICT機器の使用に気をとられての効率悪化
ICT機器に慣れず手間取ったり、「使うこと」を目的としてしまうことで逆に効率が悪化したりする可能性も危惧されています。特に教職員は、事前に機器に慣れておく必要があること、機器はあくまでツールであり目的ではないことなどに留意しましょう。
【デメリット3】生徒の想像力低下の可能性
わからないことをインターネットですぐに調べられるのは魅力ですが、そのことにより自分で考えるという作業がおろそかになる可能性があります。また、インターネットにある情報はすべて正しいものとは限らないため、情報を見極める力も重要です。
得られた情報をしっかりと見極め、組み合わせて新たな価値を創造できるような学び方の工夫が必要だといえるでしょう。
【デメリット4】インターネットによる弊害
インターネットの普及に伴い、長時間利用による生活習慣の乱れや有害サイトを通じた犯罪など、子供たちに対する弊害も多く見られるようになっています。さまざまなトラブルを防ぐためには、保護者や教師がこれらの問題や適切な使い方をしっかりと把握し、子供たちに働きかけていかなければなりません。
【デメリット5】「書く力」の低下
タブレット端末などでの学習が主になると、手で何かを書く機会は大幅に減ります。書く力の低下は、自ら考えて表現する「記述力」の低下につながるといわれています。
タッチペンでタブレット端末に書き込める教材を使用したり、紙のテキストや問題集と併用するなど、手で書くことも大切にする学習スタイルを検討すると良いでしょう。
ICT教育の活用事例
ICT教育は、2010年から総務省の主導により試験導入が行われ、現在は文部科学省「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」に沿って学校での導入が進んでいます。小中学校では各教室に1台のPCがある自治体も少なくありません。
日本においては、実際にはどのようにICT教育が活用されているのでしょうか。実際に学校教育で導入され、教育的効果が高く、多くの小学校・中学校・高校で事例をいくつか紹介します。
動きのある動画・板書の限界を超えた説明により、生徒の理解を促す
小学校から高校まで、説明を動画で行ったり、スライドでコマ送りにしたり、いろいろな手段での説明をPC上で行う例が多数見られます。
また、学校での活用に呼応するようにPCでじっくり解き方・考え方などを図やアニメーションを使い、説明する教材も増えています。
こうした立体的な説明方法としてIT機器を利用することは生徒の理解度を上げているようです。
現場の先生方からも「教科書やプリントで伝えづらい動きや音、画像を通してリアルに伝えることができるようだ」「動きのあるものについては板書では理解できていない生徒が多かったが、よく理解できたとする生徒が増えた」といった声が聞かれています。
PC・タブレットをつかった調べもの学習により、語句の意味や、物事の背景を深く知る
PC・タブレットは、使い方さえわかれば、小学校低学年から辞書を使わなくても、言葉の意味を調べることができたり、歴史上の人物についての逸話を調べられるなど、知識を広げる道具として使えます。
「小学校1年生の国語「スイミー」に出てくるからす貝の意味を、実物を提示しながら説明する」(文部科学省:学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめより)などといった実例は、小学校から高校まで多くの学校ですでに行われている取り組みです。
表計算ソフト・グラフ機能を利用してデータを集計し、算数・数学的活動を行う
学校での給食メニュー調査・昆虫観察・ごみの数・スーパーで扱っている野菜の種類の集計、もう少し学年が上がるとアンケート調査と分析など、表計算ソフトを使うと、よりグラフは身近なものとなります。
自分で集計をし、グラフの形に表現することの面白さを知ることができた、調べたことがグラフでわかりやすく表現できたらうれしかった、などのポジティブな感想を持つ子どもも多い活用法です。
より高度な算数知識や、IT知識を身に着けるきっかけとなったなどの効果が見られた例もあります。
そのほか、ストーリーのある動画をクラスで作り、編集してみる、ZoomやGoogle Talkなどを使って遠隔地の学校との交流を深めるなど、アウトプット型のICT教育プログラム例が多く見られます。「板書と挙手」よりも主体的・能動的に児童・生徒が学習をしているとのことです。
世界に目を移すと、ICT教育の事例も様々です。より進んだICT教育を行っているとされるアメリカ・シンガポール・フィンランドでは、教室で普通に1人1台PCを利用しています。
オランダに至っては、学習の進捗管理に専用アプリケーションを利用するのが標準的な教育内容です。これらの国では、PCなどのIT機器はすでに学習の道具であり、ICT教育が教育の標準形となっています。
また、コロナ禍の中、長期間にわたり生徒が登校を禁止されている中、オンライン教育で教育を支えたインドやフィリピンの例など、オンラインを通じたICT教育を標準的な教育としないと、教育がなくなる危機にあった国もあります。
初等・中等教育でも国境を越えて通信教育を受ける生徒も多くなりました。Udemyなどの教育プラットフォームにも、小中学生向けのプログラムが目立っています。
日本でも近い将来、GIGAスクール構想により、1人1台の端末利用も実現される予定です。
しかし、すでにOECD加盟国の中で、IT機器の運用スキルは最低レベルとされている日本では、もう少しICT教育を大胆に進める必要があるかもしれません。「どうすれば効果的」と考えるより、とにかく慣れて使うことの方が重要であるとする識者も多いようです。
まとめ
今回は、ICT教育とIT教育の違い、そしてICT教育のメリットとデメリットについて解説しました。時代の流れに沿っており、メリットの豊富なICT教育を、デメリットに対策を施したうえでぜひ取り入れてみてください。

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ICT教育が注目されている理由 日本の現状と海外の事例

新型コロナウィルス感染拡大による影響は、教育現場でも「対面授業ができない」という問題を突きつけました。こうしたなか、教育現場で改めて注目を集めたのがICT教育です。
国は、コロナ禍以前より教員や生徒に大きなメリットがあるとしてICT教育を推進しています。しかし、海外と比べて日本は後れを取っているのが現状です。
本コラムでは、日本と海外のICT教育を比べながら、海外ではどのようなICT教育を実施しているのかも紹介します。
ICT教育が注目されている理由
ICT教育の目的のひとつが、「教育の質の向上」です。それは、教員にとっても生徒にとっても大きなメリットといえます。
教員にとってのメリットは、業務の効率化が期待できることです。従来のように、プリントの印刷や教材の準備などが簡素化され、授業中も板書する必要がなく電子黒板で進めることから、教員の負担を軽減できるといわれます。また、情報やコンテンツを教員同士で共有することにより、均一な教育を提供できるようになるのも、教育の質の向上につながるでしょう。
生徒にとっても、動画や音声などを活用した教材コンテンツの活用により、学習に興味を持ち主体的に学ぼうとする姿勢が生まれやすくなります。活用法によっては、従来の黒板を写すだけという受動的なスタイルから、タブレット端末で授業内容を共有するといった能動的なスタイルに変化させることも可能です。たとえば、自分が作成した資料を電子黒板や他の生徒のタブレットに共有するといった方法も容易にできます。双方向型のアクティブ・ラーニングのような授業も、ICT教育なら実現しやすくなるでしょう。
さらに、どこにいても均等な教育を受けられるという点も、ICT教育が注目されている理由のひとつです。2020年春にあった全国一斉休校のようなことが起きても、インターネット環境とタブレット端末があれば家にいながら授業が受けられますし、過疎地や遠隔地といった問題を抱える地域でも「遠隔授業」により均等な教育を提供できるようになります。
日本のICT教育の現状
ICT教育は、国にとって重要な政策のひとつです。これを具現化した教育改革として、文部科学省では「GIGAスクール構想」を推進しています。GIGAスクール構想とは、生徒1人1台のタブレット端末を与えるとともに、学校には高速・大容量の通信ネットワークを整備して、次世代学校教育への技術革新を行おうというものです。すでに生徒1人1台の端末配備を済ませた自治体もあり、実現に向けて大きく動き出しています。
とはいえ、日本のICT教育は海外と比べて遅れているのが現状です。文部科学省がまとめた調査によると、教育用コンピュータ1台当たりの生徒数は4.9人(2020年)。アメリカは2008年のデータで、コンピュータ1台当たり3.1人ですから、日本が10年以上も遅れていることがわかります(なお、2021年のデータでは、日本はコンピュータ1台当たり1.9人にまで普及しています)。
タブレット端末が普及しても、教室で利用できる環境がなければ意味がありません。日本における教室の無線LAN整備率は48.9%、電子黒板などの大型提示装置整備率は60.0%(ともに2020年)と、半分前後の学校では導入されていないことがわかります。
また、実際に学校の授業で利用されているかを調査した報告によると、日本では国語、数学、理科において「デジタル機器を利用しない」と答えた生徒の割合が約8割もいました。OECD(経済協力開発機構)の加盟国では、利用している生徒のほうが半分以上もいたのに対して、日本では2割前後の生徒しか活用していないのが実情です。
日本のICT教育が遅れている理由
上記の数値はGIGAスクール構想などにより徐々に改善されていますが、それにしてもなぜ、日本はここまでICT教育に遅れを取っているのでしょうか。
理由のひとつが、「予算を確保できない」ことが挙げられます。上述の通り、タブレット端末を生徒1人1台導入するにしても、教室の無線LAN環境を整備したり、セキュリティ対策を施したりと、多くの財源が必要になります。
また、「教育現場にICTを使いこなせる人材が不足している」ことも課題です。生徒にICT機器を使わせるには、まず教員が使いこなせるよう学習する必要があります。ただでさえ業務量が多いといわれるなか、ICTを学ぶ時間も必要となれば、教員の負担はますます大きくなるでしょう。
こうした課題を解決していくことが、ICT教育の推進するうえで求められるのです。
参考:
文部科学省「令和2年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査」
文部科学省・国立教育政策研究所「OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査」
海外のICT教育の事例
海外では、どのようなICT教育を進めているのでしょうか。ICT教育における先進国の実情をみていきましょう。
アメリカ合衆国
アメリカは州によっても異なりますが、ほとんどの州で生徒にノートパソコンやタブレット端末を配布し、授業を行っているようです。個人のスマートフォンも必要に応じて利用を許可するといった体制も整っています。
シンガポール
シンガポールも、ICT教育の先進国のひとつ。日本からも多くの専門家が視察に訪れています。注目すべきは「フューチャースクール」という制度。これは、ICTを活用した教育法を学校が政府に提案できるというもの。採用されると、生徒1人1台のタブレット端末が学校に配布されるなど、国からの手厚い支援が受けられます。
韓国
2006年には電子黒板や無線LANなどを整備して利用環境を構築したり、2007年にはタブレット端末を活用したデジタル教科書を採用したりと、早くからICT教育の環境整備を進めてきた韓国。国が率先して教育ポータルサイトを立ち上げ、教材や学習ツールを共有できるしくみも整っています。
オランダ
オランダも、国が率先してICT教育を推進するため、デジタル教材のプラットフォームを提供するなど、さまざまな支援を行っています。学習進捗状況を管理できるアプリも提供しており、生徒だけでなく保護者とも共有できるしくみになっています。
フィンランド
フィンランドでは、1990年代からICT教育環境の整備が進められてきました。現在のインターネットの整備率は100%。すべての小学校に電子黒板が導入されています。最近では、VRグラスを授業に導入するなど新たな施策にも積極的に取り入れ、ICTの活用が飛躍的に進んでいる国です。
イギリス
イギリスでは、2014年に「Computing」という新教科が導入されました。主にプログラミングの学習で、2020年から始まった日本のプログラミング教育を先取りしたかたちです。また、学校によっては教室内に電子黒板や複数のデスクトップパソコンを設置するなど、生徒が気軽にICT機器に触れられる環境も整備されています。
まとめ
コロナ禍になって、ICT教育の重要性を認識させられた方も多いのではないでしょうか。それと同時に、10年、20年以上も前からICT化が進んでいる諸外国の実情を知り、日本の教育現場がいかに遅れているかと気付かされた教育関係者も少なくないでしょう。
海外では、国が率先してICT教育を推進しているところもあれば、学校から国に提案できるしくみがあるなど、国と教育現場の足並みがそろっているケースが多くみられます。
日本では、国も教育現場も課題を抱えているようにみえますが、一つひとつ解決しながら進めていくことがICT教育の普及させる近道といえるでしょう。

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ICT教育とは? 期待される効果と日本のICT教育が抱える課題

タブレット端末や電子黒板などを活用した「ICT教育」を導入する学校が、年々増加傾向にあります。
ICTの導入により、企業では業務効率化や売上向上などさまざまな恩恵を受けられますが、教育現場でも授業の効率化や生徒のモチベーション向上といった効果が期待されるようです。
その一方で、急速に進むICT化に教育現場では戸惑いの声も聞かれます。本コラムでは、ICT教育がもたらす効果と現場が抱える課題について考えてみましょう。
ICT教育とは
ICT教育とは、簡単にいうと「教育のデジタル化」のことです。教室にパソコンや電子黒板、電子教科書、Wi-Fi環境などを整備し、インターネットをはじめ情報通信技術(ICT)を活用して授業を進めます。
具体的には、教員は黒板に板書するのではなくパソコンを操作して電子黒板に映し出したり、生徒はタブレット端末の電子教科書で学んだり、生徒が作成した資料を電子黒板やクラス全員のタブレット端末に転送して共有したりといった活用が、ICT教育で実現します。
ICT教育は、文部科学省が推し進める政策のひとつです。次世代を担う子どもたちには、言語力や数学的思考力といった従来の教育に加え、情報の選択や活用ができる資質と能力も求められるようになります。子どもたちが社会に出たときに必要なスキルを養うためにも、ICT教育は必要不可欠な取り組みとして文部科学省が推進しているのです。
ICT教育で期待される効果
ICT教育を導入することで、子どもたちが主体的に学ぼうとする意欲が高まるとともに、教員にとっても授業の効率化や均一化が進み、全体的な教育の質の向上が期待されます。
ここで、ICT教育で期待される具体的な効果について、みていきましょう。
授業の効率化で教員の負担が軽減する
従来の授業では、教員が黒板に板書しながら授業を進めていました。とくに教科ごとに担当教員がわかれる中学校以上になると、同じ内容を何度も板書したり、クラスによっては板書する内容が違ったりすることもあるのではないでしょうか。
ICT教育であれば、教員はパソコンで作成した資料を電子黒板に映し出すことで授業を進められますから、板書の手間を省け抜けや漏れが生じることもなく、効率的かつ均一な授業ができるようになります。
また、授業後に生徒からの質問内容を踏まえて資料をブラッシュアップしたり、その内容を他の教員に共有したりすることで、教育の質をより高めることも可能でしょう。
導入する学習システムのなかには、生徒のタブレット端末と連携して、得意・不得意分野を分析できる機能を備えたものもあります。こうしたシステムを導入することで、一人ひとりの生徒に合わせた効果的な学習プランの提案ができるのも、ICTを活用するメリットです。
生徒が主体的に学ぶようになる
電子黒板や電子教科書のメリットのひとつに、動画や音声を交えてわかりやすく説明できる点が挙げられます。たとえば社会の授業の場合、実際の仕事風景を動画で見せたり、地形ができる様子をアニメやCGで説明したりと、生徒の印象に残るようなコンテンツを使用することで、習熟度を高めることが可能です。
授業だけでなく、教室にいながら他の地域や海外の学生と交流したり、専門家や戦争体験者などから貴重な話しを聞けたりといった校外活動にも、ICT教育なら容易に実現できます。
従来の紙媒体で文字がメインの授業から、動画や音声がメインになることで、生徒が学習に興味を持ち主体的に学ぶようになることも、ICT教育には期待されているのです。
子どものリテラシーの向上
子どもたちが成長すれば、いずれタブレット端末やスマートフォンなどを使うときがやってきます。ICT教育を実践していれば、端末の使い方に慣れるのはもちろん、情報の収集や処理方法、アプリの操作方法といった知識もおのずと身につくでしょう。
ここで重要なのは、「インターネットの正しい使い方を学ばせる」ことです。最近は、SNSなどを使った犯罪に未成年者が巻き込まれる事件を、よく耳にします。こうしたトラブルに巻き込まれないためにも、小学生のころからスマートフォンやアプリの正しい利用法を理解させ、ICTのリテラシーを高めることが大切でしょう。
日本のICT教育が抱える課題
ICT教育を実践することにより、さまざまな効果が期待される一方で、教育現場では克服しなければならない課題も多く残されています。
インフラの整備が不十分
ICT教育を実践するには、パソコン、電子黒板、電子教科書、そしてインターネット環境が必要です。このうちインターネット環境については、地域によって格差が見られます。たとえば、教室内の無線LANの整備率をみると、徳島県は98.5%とほぼすべての学校で整備されているのに対し、広島県は47.1%と半分にも満たない状況です(全国平均は78.2%)。
また、公立と私立とでもICT教育への意識に差があるようです。私立だと教職員や保護者の意見がまとまれば推進しやすいのに対し、公立の場合は自治体や教育委員会の意見も踏まえなければならず、導入が進みにくい地域や学校もあるでしょう。
ICT教育を推進するには、自治体や国のサポートが必要不可欠といえます。
参考:文部科学省「令和2年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査」
ICT教育のノウハウが体系化されていない
自治体だけでなく、個々の教員にICT教育に対する意識の差があることも、課題のひとつです。当然のことながら、端末やアプリを使うのが苦手な教員もいます。いくらタブレット端末や電子黒板などの導入が進んでも、使いこなせない教員が多ければ無駄な投資になってしまうのです。
リテラシーを高めるために、研修をおこなう教育委員会や学校もありますが、具体的な活用法や取り組みまで指導されず、結局現場の裁量に任されるケースも少なくありません。
ICT教育のノウハウをより具体的に体系化し、すべての教員が使いこなせるようになる体制づくりも必要になってきます。指導やフォローをするために、ICT教育の専門家を配置することも一手でしょう。
教員の業務量が増える可能性もある
ICT教育により教育現場の効率化が期待される一方で、教員の業務量が増えるのではと心配する声も聞かれます。授業は効率的になっても、授業で使う資料を作成する業務が生じるからです。
パソコンなどに使い慣れた教員であれば資料を短時間で作成できても、使い慣れない教員からすれば資料を作成する以前に、ICT機器の使い方などを学ぶ時間も必要になります。ただでさえ多忙なのに、ICT教育に割く時間がないという教員も少なくありません。ましてや、機器を使うことで授業の効率を悪くなっては本末転倒です。
この課題についても、教員をフォローする専門家を配置するなど、学校ごとに体制を整えることが求められます。
まとめ
ICT教育は、教員にも生徒にもメリットがある一方で、整備の地域格差や教員のリテラシーを高めるサポート体制など、まだまだ課題が多くあります。とはいえ、教育現場でICTを活用する場面が今後も増え続けることが必至ですし、先延ばしにすることは子どもたちの将来にとっても良いことではありません。
一つひとつの課題を克服しながら、子どもたちが授業を楽しめるICT教育を考えていきたいものです。

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オンラインテストのやり方―基本と効果的な使い方

新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、試験や検定のスタイルもオンライン化(オンラインテスト)が進んでいます。
従来のように受験者を会場に集めて実施する試験と比べ、オンラインテストであれば感染予防はもちろん、会場の手配や問題・答案用紙の印刷にかかる手間やコストを削減できるなど、さまざまなメリットを享受できます。
本コラムでは、オンラインテストの一般的な実施方法や注意点など、基本的な情報を紹介します。
オンラインテストとは
オンラインテストとは、パソコンやスマートフォンから専用サイトにアクセスし、試験や検定を受験するスタイルのことです。受験者は会場に足を運ぶことなく、在宅でも勤務先でも、どこからでも受験ができます。
オンラインテストは、従来から資格検定などの試験などにおいて広く活用されています。よくある方法が、指定会場に用意された専用のパソコンで受験するCBT(Computer Based Testing)という方式。近年では英検をはじめ、スキルアップを目的とした検定試験を中心に活用されているオンラインテストです。ただ、CBT形式だと好きな時間に受験はできるものの、指定会場まで足を運ぶ必要があります。
これに対して、近年需要の増えているのがIBT(Internet Based Testing)という方式。インターネットを利用した試験で、会場は決まっておらず、またデバイスも受験者が持つパソコンやスマートフォンなどから受験できるオンラインテストです。IBTもTOEFLなど各種検定試験をはじめ、模試や適性検査、eラーニングで習熟度を確認するためのテストなど幅広く活用されています。なお、本コラムではIBT方式のオンラインテストについて述べていきます。
オンラインテストのメリットと課題
オンラインテストには、「場所を問わずに受験できる」といったメリットのほかにも、以下の利点も挙げられます。
受験者の間口を広げられる
従来のように受験者を会場に集めるスタイルだと、遠方で足を運べなかったりスケジュールの都合で受験できなかったりする人も出てくるのが難点でした。
オンラインテストなら距離や時間に関係なく、いつでもどこでも受験できますから、間口が広がり受験者数の増加が期待できます。
コスト削減につながる
オンラインテストなら、受験者数にあわせた会場を手配する必要がありません。また、試験問題や解答用紙などの印刷も不要ですし、システムによっては自動採点もできるのでマークシート採点機などの設備も必要なく、テストにかかるコストの大幅な削減も可能です。
受験者にとっても、交通費や宿泊費などを抑えられるというメリットもあります。
感染リスクを抑えられる
試験会場は大勢の受験者が集まる、いわば「密」の空間です。新型コロナウィルスをはじめ、感染症の拡大リスクを高める可能性も否定できません。
もちろん、しっかり感染対策を施すことでリスクを抑えられますが、そのために消毒液やパーテーションを会場内に設置したり、検温係の人員を確保したりと、相当の手間とコストがかかります。
オンラインテストであれば、感染リスクが広がる心配もありませんし、会場も不要ですから感染対策を実施する手間やコストも省けます。
オンラインテストの課題
「受験会場に行かなくても受験できる」ということは、本人が受験しない可能性もあります。いわゆる「なりすまし」が起きやすいのが、オンラインテストの課題のひとつです。
これを防ぐシステムも、ベンダーから提供されています。たとえば、受験中は受験者の顔が映るようWebカメラを設置してもらい、受験票の顔写真とカメラの映像とを照合させる「顔認証」で、なりすまし防止をおこなっているところもあります。
Webカメラを使った方法は、カンニング防止にも効果的です。実際に、ある大学の定期試験ではテスト中にZoomのビデオ通話で受験状況を監視することで、カンニング対策を実施しています。オンラインテストには、こうした対策を通して公平性のある試験の実施が求められるのです。
オンラインテストのやり方
ひとくちにオンラインテストといっても、利用するシステムや方法はさまざまです。コロナ禍になって急速に需要が伸びた一方で、どのシステムや方法を活用するかで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
簡易的な方法として、大学の定期試験などでも採用されているのが、「Googleフォーム」を活用した選択式のオンラインテストがあります。Googleフォームの選択機能やファイルアップロード機能を用いて、選択問題に回答させたり、論文などをアップロードさせたりといった使い方をしている学校も多いようです。プログラミングの知識がなくても作成できる使いやすさや、採点や集計などを自動でおこなえるという効率性も人気の理由のようです。
また、eラーニングシステムのなかには、テストやアンケートができる機能のついたサービスもあり、これを活用して試験をおこなうのも一手です。システムにもよりますが、Googleフォームのように自動採点や自動集計もできますし、双方向でライブ配信できるシステムであれば試験中の監視もできるため、なりすましやカンニングを防ぐことも可能でしょう。
オンラインテストもできる動画共有プラットフォーム「UIshare」
ユイコモンズでは、オンラインテストもできるテスト機能をはじめ、ライブ配信やオンデマンド動画配信、ファイル共有などの機能を搭載した「UIshare」という動画共有プラットフォームを提供しています。
UIshareは、これまで17万人の会員に1,200を超えるコース(2021年7月現在)を提供してきたオンライン学習プラットフォーム「GoGetterz」を、クライアント用にカスタマイズして提供。動画を活用したeラーニングシステムとしても、重宝されています。
テスト機能に関して、認定試験や理解度チェックテストなどをオンラインで簡単に実施できます。基本のテスト形式は選択式で、回答時間や受験回数といった制限もつけられ、より精緻なテストの実施も可能です。
また、コンテンツ共有を使えば論文などの提出もできますし、双方のライブ配信もできますから受験者の様子を監視したり、録画をして後日チェックしたりすることも可能です。
HTMLなどの専門知識がなくてもすぐに始められる使いやすさも選ばれる理由となっていますので、eラーニングやオンラインテストを検討されている方は、ぜひご相談ください。
まとめ
一堂に会して実施する従来の試験からオンラインテストに移行することで、受験者の間口を広げたりコスト削減につながったりと、主催者側にとってさまざまなメリットを享受できます。
その一方で、カンニング対策やなりすまし防止などの課題もあり、公平かつセキュアな環境で受験できるシステム選びも重要なポイントになります。こうした対策を含め、自社のニーズや要望に適したシステムを選ぶことが、オンラインテストを成功に導く近道といえるでしょう。

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タイムマネジメントとは ―生産性向上のための時間管理術の基本―

誰でも平等に持っている「時間」。限られた時間をうまく管理・活用できるかどうかが、仕事や生活の質を左右するといっても過言ではありません。そのため、時間管理術「タイムマネジメント」は、若手・新人からベテランまでどんなビジネスパーソンにも必須だといわれています。
では、タイムマネジメントとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
今回はタイムマネジメントについて、その意味や目的・メリットなどをご紹介します。
タイムマネジメントとは
タイムマネジメントは、ビジネスにおけるさまざまなシーンで役立つ「時間管理術」のことです。もう少し具体的にいえば、「時間の使い方をうまく管理し、生産性を向上させる技術」のことです。「時間管理」といっても時間を増やしたり減らしたりすることはできないので、あくまでマネジメントするのは「時間をどう使うか」という行動である点にはご注意ください。
タイムマネジメントを適切に行うことで、たとえば1時間に50の成果を上げていた業務で1時間に100の成果を上げられるようになったり、同じ50の成果を上げるためにかかる時間が30分に短縮されたりと、時間あたりの成果を増やすことができます。
「時間管理」というとスケジュール管理を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、タイムマネジメントは単なるスケジュール管理とは異なります。たとえば会議に参加する場合、スケジュールで管理するのは「〇時~〇時 会議」というアポイントのみですが、実際には準備にも時間がかかったり、終了後に議事録や報告書を作成する必要があったりと、アポイントの時間外にも作業が発生します。
タイムマネジメントでは、こういった「準備」「後処理」などを含め、やるべきタスクを初めにすべてを洗い出します。それらに緊急性や重要性に応じて優先順位をつけ、それぞれのタスクに目標を設定するなどの管理を行い、効率的にこなせるよう計画を立てて実行し、計画にズレがないかなどの振り返りをして次のマネジメントにつなげるというのがタイムマネジメントの大まかな流れです。
タイムマネジメントを行う目的
タイムマネジメントを実施する際には、その目的をしっかりと見据えておくことがとても大切です。そこで、ここからはタイムマネジメントの目的とその重要性について詳しく解説します。
タイムマネジメントの大きな目的は「成果を上げること」、さらにいえば「時間あたりの成果を増やすこと」です。
世間には業務効率化に関する書籍や情報が多く出回っています。たとえばパソコンのショートカットキーの活用、優先順位マトリクス、TODOリストなど、ビジネスにおけるライフハックと言えるようなテクニックについては、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、最終的な目的を見据えていなければ、こういったテクニックのみを取り入れても単に作業時間がいくらか短くなるだけで、成果につながりにくいのが実情です。「時短テクニックを取り入れて業務効率化をしたはずなのに結局、時間に追われている」「作業効率は少し良くなったが、本質的な問題は解決できていない」といった状況は、目的を意識することなくテクニックのみを取り入れている場合によく見られます。
「タスク管理」「優先順位付け」「目標設定」「振り返り」などのステップを経て「時間当たりの成果を増やす」という最終的な目的に近づくことを意識して初めて、タイムマネジメントが実行できているといえるでしょう。
タイムマネジメントのメリット
タイムマネジメントを実施することで得られるメリットには、短期的なものと中長期的なものがあります。短期的なメリットは結果が見えやすくモチベーションをアップするためにも大切なことですが、より確実に成果へと結びつけるには中長期的なメリットを把握し、意識することが大切です。
短期的なものと中長期的なものに分けてメリットをご紹介しますので、参考にしてみてください。
短期的なメリット:業務効率化による処理能力向上と時間の捻出
タイムマネジメントによって業務が効率化されれば、まず単純に余剰時間が生まれ、新たなことに取り組む余裕ができます。また、効率化された業務をこなすことで、処理能力の向上にもつながるでしょう。
ほかにも、業務にかかる時間が減ることで残業時間も減らすことができ、社内満足度の向上や残業に係るコストの削減につながるなど、経営の効率化にも寄与します。社員としてもプライベートに費やせる時間が増え、より良いワークライフバランスを実現することができます。
従来のスケジュール管理や時短テクニックだけでは、目の前の仕事をただこなしているだけという状況に陥りやすく、多くの場合、上記のようなメリットを生み出すほどの業務効率化は見込めません。タイムマネジメントをうまく活用して、あらゆるタスクを把握し優先順位ごとに管理、実行することでさらなる業務効率化につなげていきましょう。
中長期的なメリット:個々のスキルアップや独自の仕事領域の確立
短期的なメリットに関して「余剰時間が生まれる」ということをお伝えしましたが、中長期的に考えるなら、この余剰時間をさらにマネジメントすることが大切です。
たとえば、余剰時間で知識やスキルを磨けばビジネスにおいてより高い価値を発揮できるようになりますし、余剰時間を独自性の高い仕事に費やせばその分野に特化し仕事領域を確立することもできます。
また、最も優先順位が高いのは緊急性と重要性の両方が高いタスクですが、その次に優先順位の高い「緊急ではないが重要なタスク」は従来のやり方では緊急性の高いタスクに目を奪われて失念しがちです。
こういったタスクには「大きな改善や改革につながるタスク」「自身のキャリアにおいて今後必要となるタスク」など、上記のような高い価値の発揮や独自性の強い仕事領域の確立などにつながるタスクが多く含まれています。業務効率化によって生まれた余剰時間を「緊急ではないが重要なタスク」に振り分けて実行することで個々のスキルアップを目指せるのも、非常に大きなメリットだといえるでしょう。
まとめ
従来のスケジュール管理とは異なり、本質的な業務効率化を目指すことができ、作業時間の短縮だけでなくスキルアップなどの中長期的なメリットも見込めるタイムマネジメント。業務の効率が悪いと考える方や効率化がうまくいかないと悩んでいる方などはぜひ取り入れてみてください。

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オープンバッジとは?デジタルの時代の新しい証明書

オープンバッジとは、国際標準規格で認定された知識・スキルのデジタル証明書です。オープンバッジは、大学や資格認定企業・団体などがプラットフォームを通して発行するのもので、受検者・受講者はオープンバッジを電子履歴書やメール署名などに貼ることで、自身のスキルを証明することができます。
今回の記事では、近年注目を集めるオープンバッジの基本的な情報や取得までの仕組み、発行者・取得者のメリットをご紹介します。
オープンバッジとは
オープンバッジ(Open Badges)とは、知識や経験、スキルを電子的に証明するデジタル証明のことです。オープンバッジは、国際標準規格(IMS Global Learning Consortium)に則って発行されるもので、バッジ取得者が保有する資格情報や学習歴を信頼性高く証明することができます。
オープンバッジのなかには、ブロックチェーン技術を組み込んだ環境から発行されるものもあります。プロックチェーン技術に基づいて発行されたオープンバッジは実質的に偽造・改ざんができないため、非常に信頼性の高い証明となります。
オープンバッジは、これまでにグローバルのIT企業などから多く発行されており、IMS Globalのレポート では2020年までに4,300万個以上のオープンバッジが発行されたと報じられています。
働き方やキャリアパスが多様化するなか、日本でもオープンバッジを活用し、個人のスキルや経験を見える化することに注目が集まっています。
オープンバッジ取得までの仕組み
オープンバッジを発行・取得するための仕組みをご紹介します。
まず、オープンバッジ発行に関わる人・企業や団体・サービスを整理してみましょう。
オープンバッジ発行に関わる人・企業・団体・サービス
●オープンバッジ発行者(企業・団体):
資格認定団体、大学、教育機関、研修会社など、教育や資格、認定、研修を提供する企業・団体が発行者となります。
●オープンバッジ発行プラットフォーム:
国際標準規格やブロックチェーン技術に基づくオープバッジ発行・管理システムを提供する企業や団体があります。日本では一般財団法人オープンバッジ・ネットワークや株式会社ネットラーニング等がサービスを提供しています。
●オープンバッジ取得者:
オープンバッジ発行対象の資格を取得した人・講習を受講した人を指します。
オープンバッジ発行・取得・活用の流れ
次に、オープンバッジの発行・取得・活用の流れをご紹介します。
(1)発行者→プラットフォームに申請
まず、教育や資格を提供する企業・団体(オープンバッジ発行者)が、国際的な規格に基づいたオープンバッジ発行プラットフォームを運営する会社に申請します。申請が通れば、プラットフォーム上でバッジデータを作成します。
(2)発行者→取得対象者に授与
その後、オープンバッジ発行者(企業・団体)は、プラットフォーム上で取得対象者にオープンバッジを授与します。(3)取得者が自分でバッジを管理・活用
オープンバッジの取得者は、プラットフォームにユーザー登録し、ウォレットと呼ばれるシステム上で複数のバッジを管理することができます。オープンバッジは電子履歴書やメールの署名、SNSなどに簡単に貼り付けることができます。
オープンバッジのメリット
オープンバッジは発行者、取得者それぞれにメリットがあります。各立場のメリットをご紹介します。
オープンバッジ発行者(大学・資格認定企業など)のメリット
●受検者・受講者の学習意欲向上・モチベーションアップにつながる
わかりやすく視覚化されたバッジがあることは、学習者の取得意欲・収集意欲を刺激します。その結果、受検者・受講者の学習意欲全体の向上、モチベーションアップにつながります。
●紙の証書発行、卒業生の照会などの事務作業を軽減できる
紙での修了証発行や、卒業後の学位・単位証明など、従来、教育機関が行っていた事務作業を軽減できます。
オープンバッジに有効期限を設けることで、取得者自身が申告や再受検のタイミングを確認することも可能。学位証明などには、ブロックチェーン型の改ざんできないオープンバッジを発行することで、証書の再発行などにかかる手間を減らすこともできます。
●資格や講座の広報につながる
取得者にオープンバッジをどんどん活用してもらうことで、発行者が提供する資格や講座の認知向上につながります。
オープンバッジにはメタデータとして発行元のデータを埋め込むことができます。オープンバッジを目にした人がバッジの内容を照会することで新たな受検者・受講者を呼び込むきっかけとなります。
オープンバッジ取得者のメリット
●自分のスキルを客観的に証明できる
自身のスキル・学習履歴・経験を見える化し、客観的にアピールできます。国際的な規格に基づいて認定された信頼性の高い証明のため、就職や転職などの際にも正当な評価の対象となります。
●メールやSNSでアピールしやすい
ビジネスのオンライン化が進むなか、名刺に取得資格名を入れるだけではスキルのアピールにつながりにくいもの。
オープンバッジはデジタル証明のため、メールの署名やSNS(Twitter、Facebook、Linkedin等)で簡単に共有ができることがポイントです。日常的にやりとりすることの多いデジタルツールを通して、自分のスキルをアピールしたり、仕事の信頼性を高めたりすることができます。
●その後の学習計画・キャリア計画の指標になる
オープンバッジはさまざまな教育機関や資格認定企業から発行されているため、「いつまでに、どのバッジを取ろう」というモチベーションにもつながります。企業が社員教育として計画的なバッジ取得を促す、学習者が目標とする人の取得バッジを参考に学習計画を立てるなど、幅広い応用が考えられます。
まとめ
このようにオープンバッジは、デジタル時代のスキル証明書として、さらなる普及が期待されるものです。
教育や資格を提供する側にも、取得・履修する側にもメリットのあるオープンバッジは、今後、企業・団体を問わず活用範囲が広がっていくでしょう。教育や研修に関わる企業の方は、この動向に注目し、オープンバッジの有効な利活用の方法を模索してみてはいかがでしょうか。

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業務の改善や効率化に役立つおすすめのフレームワーク

業務効率化や生産性向上などを目的とした業務改善を進めるには、現状の業務プロセスを可視化するための「フレームワーク」を設計することが大切です。いわゆる「業務の見える化」によって課題を洗い出したり、具体的な改善計画を立てたりするうえで、フレームワークが重要な役割を果たします。
本コラムでは、フレームワークの意味や作成するメリット、業務改善に役立つおすすめのフレームワークについてお伝えします。
業務改善・効率化に活用するフレームワークとは
フレームワークを直訳すると「枠組み」という意味です。業務改善におけるフレームワークとは、具体的な改善策を計画するうえでの考え方や手法、手順などを意味します。
業務改善を進めるには、何よりも現状における業務プロセスの課題を突き止めることが大切です。そこで、現場の従業員にヒアリングをするなどして課題の原因を洗い出し、改善策を考え、実行に移していくという一連の考え方や手順を「フレームワーク(枠組み)」にすることで、さまざまな問題を解決へと導けるようになります。
業務の改善や効率化にフレームワークを導入するメリット
業務改善におけるフレームワークを活用することで、以下のようなメリットが享受されます。
課題の本質を探れる
「残業が多い」「コストがかかり過ぎ」など、現場にはさまざまな課題があるでしょう。それに対して、「残業を減らせ」「コストを削減しろ」と管理職が言っても、現場には「どうやって?」という疑問が出るだけで解決策にはなりません。
フレームワークを使えば、たとえば残業の多くなる本当の理由が「人手不足だから」「無駄な業務が生じているから」といった課題の本質を可視化できるようになり、具体的な対策を打ちやすくなります。
課題を共有できる
フレームワークのいちばんの目的は、「課題の見える化」です。課題の本質的な原因は、現場で業務をしている従業員には見えない(わからない)こともあります。そこで、フレームワークを用いることで、課題の全体像や論点が明確になり、現場の従業員から経営層まで共有しやすくなります。多くの人に共有されることで、「誰がどのように対応すればよいか」といった業務改善策の議論もでき、課題解決へと導きやすくなります。
業務の改善や効率化に役立つフレームワーク5選
ひとくちに業務改善のフレームワークといっても、いくつもの種類があります。そのなかから、自社の考え方や課題の種類などに応じて適したフレームワークを選ぶことで、改善策のアイデアを提言しやすくなります。
ここでは、代表的なフレームワークについて紹介しましょう。
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、継続的に業務改善を進めるためのフレームワークです。ポピュラーなフレームワークですから、すでに活用している企業も多いのではないでしょうか。
PDCAサイクルでは、以下4つの工程を繰り返しながら、業務改善を目指します。
(1)Plan(計画):課題を洗い出したうえで、具体的な業務改善計画を立てる。
(2)Do(実行):業務改善計画を実行する。
(3)Check(評価):実行した効果を測定し、業務改善の進捗を評価する。計画通りに進まない場合は、やり方を変えるか、そもそもの計画の見直しを行う。
(4)Action(改善):評価結果をもとに、さらに改善すべき課題が無いかを検証する。
(4)で終わりではなく、さらに改善する方法を模索して(1)計画を立て、(2)実行、(3)評価を繰り返すことで、継続的な改善や組織の成長を促すのがPDCAサイクルの目的です。
ERCS(イクルス)
ERCSも、4つの工程から構成されるフレームワークです。PDCAと異なる点は、「効果が見込まれる改善策を優先して進めていく」という点でしょう。具体例を交えながら説明します。
(1)Eliminate(排除)
まず、社内の課題を洗い出したうえで無駄な業務を「排除」することから始めます。たとえば、「誰もチェックしない日報は廃止する」「不要な個包装をなくす」「外注できる業務はアウトソースする」といったことです。
(2)Combine(組み合わせる)
別になっていた業務を、連続して作業したり同時に処理したりと「組み合わせる」ことで、効率化を図ります。「適宜やっていた事務作業をまとめて実施する」「ラインごとに行っていた検品作業を1つのラインにまとめる」「ランチ時間に会議をする」などのケースがあります。
(3)Rearrange:再配置
「再配置」とは、作業担当者やシステムの変更などで効率化を図ることです。「新人にできることなら交代する」「製造工程を変更する」「紙の資料を電子化する」などが挙げられます。
(4)Simplify(簡略化)
作業手順を単純化したり省略できるところを削減したりするなど、業務の「簡略化」を図ります。「プレゼン資料をテンプレート化する」「FAXからメールにする」などの方法があります。
KPT
KPTとは、これまでの業務で「良かったこと」「悪かったこと」を振り返りながら課題を洗い出し、業務改善を進めるフレームワークのことです。K(Keep)は今後もノウハウ化して続けること、P(Problem)は改善が必要な課題、T(Try)はKとPを踏まえた今後の改善計画を示します。
たとえば、Kが「業務の自動化でコスト削減できた」、Pが「新たな業務で人手が足りない」という場合、Tは「自動化で余裕のある従業員を人手の足りない部署に回してサポートしてもらう」といった考え方です。
具体的には、KとPをふせんなどに書きだしてホワイトボードや模造紙に貼り出すことで、ノウハウ化することと改善点を可視化できます。
ロジックツリー
ある課題に対して、それが生じる原因はひとつとは限りません。そこで、課題の原因について論理的に説明できる可能性も含めて枝分かれさせながら広げていき、多角的に分析していくのが、ロジックツリーという方法です。
一例として、「残業が多い」という課題があったとします。その原因は「人手不足」「業務量が多い」という2つが考えられるとします。次に、人手不足になる原因を考えると「離職率が高い」「採用が少ない」、業務量が多い原因は「無駄な業務が多い」「属人化している」といったことが考えられます。
このように、課題の原因を深く追求していきながら、最終的に枝の末端にあたる要素が、課題の根本的な原因となるのです。
上記の例は課題の原因を探るケースですが、「どうすればできるか?」といった目標達成の手段を洗い出す際にも、ロジックツリーのフレームワークが活用されます。
BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)
BPMNは、図形や矢印などを用いてフローチャートのように業務プロセスのフローなどを可視化し、課題や改善策を見つけやすくするためのフレームワークです。
基本的には、「イベント」「アクティビティ」「ゲートウェイ」「シーケンスフロー」という4つの記号を用いて、業務プロセスの内容を可視化していき、無駄な業務や連携すれば改善できることなどの問題点を挙げていきます。さらに、改善点をもとに再びBPMNでフローチャートを作り、効果について検証することも可能です。
このように深掘りしていくほど業務改善効果が現れやすくなりますが、これを人手で実行するには時間と手間がかかります。現在はこのフローを自動化するツール(BPMツールなど)も登場しており、業務改善を効率的に進めることが期待できるでしょう。
ちなみにBPMNの定義や描画法(記号など)は、国際標準「ISO19510」に登録されています。
まとめ
業務改善を実行するには、何よりも先に現場の業務内容を正しく理解し、課題や問題点を明確にすることが重要です。上記で紹介したPDCAサイクルやERCSは、課題の原因をつかんだうえで利用できるフレームワークですから、原因がわからないときはKPTやロジックツリーといった方法から始めるとスムーズに進められるでしょう。
また、課題や問題点を明確にする際には現場の声をヒアリングすることも大切です。管理職や経営陣だけで進め、業務効率化の施策を一方的に決めると、現場から不満の声が挙がり失敗するケースが多々見られます。課題の本質を突き止めるうえでも、現場の声を重視して、業務効率化の施策を一緒に考えていくのが成功への近道です。
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