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業務の属人化で起こる問題点と解消方法

業務の属人化で起こる問題点と解消方法

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業務の属人化で起こる問題点と解消方法

業務フローの改善や効率化において近年よく聞かれる「属人化」とは、ある業務が組織ではなく特定の個人に属している状態を意味し、その業務の内容ややり方を特定の従業員だけが把握している状態を指します。
業務の属人化にはメリットもある一方、多くのデメリットが指摘され、「標準化」を中心とした改善策も挙げられています。
本コラムでは、状況によっては企業の成長に影響をおよぼす「属人化」について、問題点と解消方法、メリットもあわせて解説します。

属人化とは

「属人化」とは、ビジネスの場で使われる場合、ある業務を特定の従業員が担当することにより、当人以外の従業員はその業務の内容や進め方がわからない状態になっていることを指します。業務の属人化には一般的にデメリットが多いとされ、属人化という言葉は基本的に批判的な意味で用いられます。これに対して、マニュアルを整備し、誰でもその業務に取り組める状態にしてあることを「標準化」と言います。
業務が組織ではなく特定の個人に属している状態である「属人化」は、分業を基本とする日本人のビジネススタイルの流れを汲むものです。おもにIT分野のプロジェクト管理で用いられていましたが、近年では多くの分野・業種で使われるようになりました。

属人化で起こる問題

業務が属人化するとその業務の大部分を特定の担当者に依存した状態となり、担当者が不在の場合や異動・退職などの際に他の従業員がその業務をスムースに行うことができないという問題が発生します。
ここでは、属人化によって起こる問題と属人化が企業に与えるデメリットについて解説します。

  • 業務効率の低下や業務遅滞

業務効率の低下は、属人化によって起こりうる問題のなかでも代表的なものです。担当者以外の従業員が行えない業務は、担当者が不在の場合に停止してしまうおそれがあります。代わりの従業員が担当した場合でも情報不足のため適切に進められず、担当者と同じレベルを担保できません。いたずらに労働時間が増え、その後のフローにあたる業務が軒並み遅滞してしまうというケースもあります。結果的に納品が遅れれば、企業の信用や利益の損失を招きかねません。
とくにベテランの従業員に属人化した業務については、広範囲にわたって業務効率が低下する場合があるので要注意です。

  • ミスの発見が遅れがちになる

属人化が進んでいる職場ではチェック体制が適切に機能せず、業務上のミスの発見が遅れることがあります。
属人化が恒常的であり各自が自分の業務に専念していると、情報共有の必要性を感じにくくなります。そのため、当人にそのつもりがなくても業務がブラックボックス化してしまい、業務の進捗や状況に問題がある場合でも周囲が気づきにくくなってしまいます。

  • トラブル発生時の対応に支障が出る

取引先や他部署に急ぎの連絡を取ろうとしたときに「ただいま担当者が不在につき後日ご連絡します」と言われる状況は、まさに業務の属人化によって起こるものです。
特定の従業員しか対応できない業務があると、トラブルや問い合わせに対して周囲がサポートしきれず、相手を待たせてしまったり、たらい回しに遭わせてしまったりすることがあります。顧客満足度が低下や企業の信頼失墜につながるケースもあるので要注意です。

  • 知識・技術が引き継がれない

業務の属人化はベテラン従業員に起こりやすい傾向があります。該当のベテランが退職してしまうと、企業としてはそれまでに蓄積された知識や技術を失うことになります。
ベテランだけが特定の業務を担当していて知識の共有や技術の継承の必要性が感じられないという状態では、せっかくのスキルやノウハウが若手に行き渡らず、企業としては人材育成のチャンスを逃すことになります。

属人化にはメリットもある

業務の属人化はデメリットだらけかというと、そうとは言い切れません。属人化しているからこそ得られるメリットもあり、逆に、業務を標準化・マニュアル化することによって得られなくなるメリットもあります。
ここでは、属人化によって得られるメリットについて解説します。

  • 個人のモチベーション向上と成長を促す

とくに小規模の企業においては、特定の業務を一人の従業員に裁量をもって任せることは、個人のモチベーションを上げ、成長の機会を提供することにつながります。
従業員からすると、自分以外に頼れる人がいないという状況はプレッシャーになり業務そのものがハードになることもありますが、同じ業務をチームで行うのに比べると、より多方面で横断的なスキルを身に付けるチャンスとなるでしょう。

  • スペシャリストを育成し業務効率を高める

業務が属人化することにより、担当者は該当する業務について多くの知識と高い技術を身に付けることができ、スペシャリスト化します。
短時間かつクオリティの高さを担保したいとき、業務の効率を高めることができます。

  • 対外的に厚い信頼を得ることできる

業務の属人化が企業にもたらすメリットの最たるものは、取引先などから「あの人に頼めば間違いない」という担当者に対しての厚い信頼を得やすい点です。
たとえば、属人化している営業の担当者が、顧客が商品を購入した際に親切な対応や手厚いアフターフォローを行えば、顧客は他社よりも自社を選ぶようになり、リピーターとなる可能性が高まります。

属人化の問題点を解消する方法

属人化によって起こる問題点を解消する方法として、業務の「標準化」や業務フローの改善、誰にでもわかりやすいマニュアルの整備などが考えられます。
業務の標準化は属人化によって起こる問題を解消するだけでなく、企業全体の生産性を高めるのに有効なアプローチだと言えます。
ここでは業務の標準化を目指す場合の代表的な3つのステップをご紹介します。

  • 担当者へのヒアリングと業務フローの明確化

初めに、属人化がみられる業務を特定し、担当者にヒアリングを行います。どのように作業を進めているのかを把握するために、確認事項をあらかじめリストアップし、担当者と共通認識を持ちながら進めると良いでしょう。
属人化している業務の実態をもれなく聞き取り、業務フローを客観的に把握するためにフローチャートなどを作成すると良いでしょう。

  • マニュアルの作成

業務フローを明確化したら、他の従業員に共有・周知できるようマニュアルの作成に入ります。ここでポイントとなるのは、最初から網羅的な内容を目指さず、比較的簡易なものとすることです。
まずはフローチャートなどをもとに、一連の流れをわかりやすく示したマニュアルを作成します。その後は実際に運用しながら、担当者へのヒアリングで得られた情報をもとに、適宜付け足しや編集を行いブラッシュアップしていくと良いでしょう。

  • 情報の共有と業務の分散化

マニュアルを配布し、属人化されている業務の内容ややり方について共有・周知します。マニュアルは一人ひとりに配布しても良いですが、情報共有ツールを活用して一斉に周知する方法もあります。
担当者に権限が集中することも属人化の原因のひとつとなるので、一人ひとりの従業員の役割意識を高める必要があり、業務を分散化させる際には責任の分散も同時に行います。

まとめ

業務の属人化には「トラブル時の対応に支障をきたす」「チェック体制が適切に働かない」といったデメリットが指摘されることが多いですが、「スペシャリストを育成できる」「属人的だからこそ取引先から厚い信頼を得られる」などのメリットもあります。

属人化の状況によっては企業の成長に支障をきたすこともありますが、属人化している業務を特定して問題を解消することで事態は好転すると考えられます。
自社内に属人化している業務があればそれを見極めて担当者に丁寧にヒアリングを行い、企業戦略や人材育成など多面的な観点から標準化を図っていくと良いでしょう。

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執筆者情報

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