GIGAスクール構想とは、文部科学省が2019年に提唱した教育改革案で、小中学生を対象に1人1台の学習者用端末を配備し、小・中・高校に高速大容量の校内LANを整備して、新時代にふさわしい学校教育への技術革新を行おうというものです。GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取ったものです。
GIGAスクール構想は、職場でも家庭でもICT活用が当たり前になっている現代において、日本の教育現場でのICTの利活用が世界的に見ても遅れている状況を背景に、当初は5ヵ年で実現を計画されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて大幅に前出しされました。
本コラムでは、GIGAスクール構想の概要と、実現のために重要なポイント、実現した場合に得られる効果についてご紹介いたします。
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GIGAスクール構想とは
GIGAスクール構想とは、文部科学省が2019年に提唱した教育改革案の名称で、GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取ったもの。「すべての児童生徒のための世界につながる革新的な扉」という意味です。小中学校の児童生徒を対象に1人1台の学習者用端末を配備した上で、小・中・高校に高速大容量の校内LANを整備し、新時代にふさわしい学校教育への技術革新を行おうというものです。
GIGAスクール構想の背景には、職場でも家庭でもICT活用が当たり前になっている現代において、日本の教育現場でのICTの利活用が世界的に見ても遅れている状況があります。
文部科学省が発表したリーフレット「GIGAスクール構想の実現へ」によれば、日本の学校における授業でのデジタル機器の使用時間はOECD加盟国で最下位。さらに、学校外における子どもたちのICT使用は学習外に比重が高いといいます。
そこで、1人1台の端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子供たち(特別な支援を必要とする子供を含む)を誰一人取り残すことなく、学校における学習はもちろん、家庭学習もオンラインで行えるような教育ICT環境を実現するというのがGIGAスクール構想です。
当初は、5ヵ年で段階的に配備を進める予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「2020年度中」と大幅に前倒しされました。
GIGAスクール構想で重要な3つのポイント
文部科学省の資料『「児童生徒1人1台コンピュータ」の実現を見据えた施策パッケージ』を紐解くと見えてくるGIGAスクール構想で重要な3つのポイントが「ハード」「ソフト」「指導体制」です。
【ハード】ICT環境の整備
「GIGAスクール構想」のもっともわかりやすい部分で、児童生徒1人1台のコンピュータや、高速大容量の通信ネットワークの整備といった面です。文科省はこれを全国の各自治体で実現するために、都道府県レベルでの共同調達を推進したり、調達説明会を開催したりするとしています。
【ソフト】デジタルならではの学びの充実
1人1台に配布した端末で学習するソフト面では、デジタル教科書・教材など良質なデジタルコンテンツの活用を促進するとともに、教科ごとの学習活動例を提示するとしています。
また、AIドリルなど、先端技術を活用した実証も検討されています。
【指導体制】日常的にICTを活用できる体制
ICT活用については、教育現場の教師などの職員が必ずしも高い専門性を持っているわけではないため、文科省はその部分もサポートする内容を盛り込んでいます。
具体的には、教職員支援機構を通して各地域で指導者養成研修を実施することや、ICT活用教育アドバイザーによる説明会・ワークショップの開催、さらに、令和4年度までに4校に1人程度のICT支援員を配置するとしています。
上記のいずれかを優先するのではなく、三位一体で取り組むことで構想推進を加速させます。
GIGAスクール構想の実現で期待できる効果
では、GIGAスクール構想が実現した場合、どのような効果が期待できるのでしょうか?
双方向型の一斉授業の実現
一般的な多くの学校での授業は、先生1名に対して子どもたちが複数いる教室での集団授業(一斉授業)です。一斉授業には、友達と同じ内容・同じペースで学ぶ中で気づきが得られるなどメリットもありますが、全員が理解できていなかったり意見を発表できなかったりといったデメリットもあります。
GIGAスクール実現により、1人ひとりが学習の中で端末から反応を返すことで、教師は全員の反応を踏まえた双方向性のある一斉授業が行えるようになります。
アダプタティブラーニングの実現
アダプタティブラーニングとは、簡単にいうと個々の学習の進捗状況に合わせた学習提案を行うことですが、前述のように従来の集団授業では、1人ひとりの理解度に応じた学習は困難です。
1人1台の端末を学習に活用することで、個々の学習状況を可視化でき、それぞれに合わせた個別学習が可能になります。
アクティブラーニングの実現
前項のアダプタティブラーニングと語感が似ていますが、アクティブラーニングとは、学習者が能動的に学べるような学習方法で、講義形式中心の授業ではなくディベートやグループディスカッション、ワークショップといった形式を中心とした授業が該当します。
タブレット端末などが、調べ学習や文章、プレゼンテーションの作成などをアシストしてくれ、アクティブラーニングが可能になります。
STEAM教育の実現
STEAM教育とは、「Science」「Technology」「Engineering」「Art」「Mathematics」の頭文字を取ったもので、これらの各教科での学習を統合し、実社会での課題解決に生かしていくための教育のことです。
「課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」という探求のプロセスにおいていずれもICTの活用が可能なため、GIGAスクール構想によりSTEAM教育の実現が可能です。
まとめ
GIGAスクール構想について基本的な情報をまとめてご紹介しました。
上では触れませんでしたが、GIGAスクール構想は2020年度から小・中・高校へと順次実施される新学習指導要領とも関連しています。新学習指導要領では、これまでの知識定着型から学習方略、知識活用型の学習へと大きな転換が図られています。
GIGAスクール構想は、子ども達のためだけなく、教育現場に変化をもたらすことも期待されています。導入効果をあげるためにも、利用する側も積極的に活用し、うまく運用したいものです。
GIGAスクール構想については、以下の記事もご覧ください。
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