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GIGAスクール構想のメリットとデメリット

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GIGAスクール構想のメリットとデメリット

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初の予定から大幅に前倒しされた「GIGAスクール構想」。別記事「GIGAスクール構想とは? 」でもお伝えしたように、実現すればさまざまな効果が期待できます。

ただ、何事にも良い面と悪い面とが存在します。GIGAスクール構想の推進には、デメリットはないのでしょうか?

本コラムでは、GIGAスクール構想のメリットとデメリットをそれぞれ整理してご紹介いたします。

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GIGAスクール構想とは?

GIGAスクール構想の現状と課題

GIGAスクール構想が注目される理由

GIGAスクール構想は、文部科学省が2019年に提唱した教育改革案ですが、この1年で注目度が高まっています。その理由は何でしょうか?

新型コロナウイルスの感染拡大

GIGAスクール構想は、文部科学省が2019年に提唱した教育改革案で、当初は5ヵ年計画でした。ところが、2020年の年明けから日本でも新型コロナウイルスの感染が広がり、多くの学校が臨時休校となるなど、教育現場におけるICT導入の必然性が急激に高まりました。

実際に、コロナ禍を受けて実施が「2020年度中」へと大幅に前倒しされ、現場は対応に追われました。自治体はもとより、ICT関連のベンダーも提供プランやキャンペーンを発表し、GIGAスクールの認知度は一気に高まりました。

小学校でのプログラミング教育必修化

2020年度からプログラミング教育が小学校で必修化され、中学校、高校でも2021~2023年度で順次開始される予定です。
プログラミングを学ぶ際、知識の習得のために講義を受ける際はノートと鉛筆があれば十分ですが、その後、実際に手を動かして演習を行う際にはパソコンが必要になってきます。

できれば、1人につき1台の端末があった方が良いため、これがGIGAスクール構想と重なり、注目を集めることとなりました。

GIGAスクール構想の目的とは

文部科学省がGIGAスクール構想を提唱した主な目的は、以下の3点です。

予測不可能な社会を自立的に生きる力を身につけさせるため

GIGAスクール構想を推進してきた文部科学大臣である萩生田 光一氏は、GIGAスクール構想に寄せて文科省のWebサイトで「文部科学大臣メッセージ」を発信し、

子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成していくことが必要です。その際、子供たちがICTを適切・安全に使いこなすことができるようネットリテラシーなどの情報活用能力を育成していくことも重要です。

と述べています。
GIGAスクール構想を通して、ICTを活用した教育を実施することにより、情報を知識として活用し、課題を見つけて解決できるようなスキルを身につけてもらおうというわけです。

居住場所やインフラ格差による教育格差の解消

実は、GIGAスクール構想の20年以上も前から学校のICT化は推進され、「3人に1台」の端末配備が目指されていました。ただ、地方財政措置として進められてきたため、自治体によって政策の優先順位が異なり、達成できない状況がありました。
そこで、GIGAスクール構想により全国的なICT化が推進されたという経緯があります。

過疎地や離島といった教育環境が整いにくい地域に居住する子どもや、所得の低い家庭の子どもなども取り残さず、教育格差を解消することも目的の一つです。

教員の業務負担の軽減

近年、教員の長時間労働が問題になり、労働環境の改善、つまり教員の「働き方改革」が叫ばれるようになりました。

教員がICTを活用することで、授業の事前準備やテストの採点、成績処理などを効率化できるほか、保護者を対象としたイベントの出欠確認、時数管理といった教務系業務、子どもの出席確認や健康データ管理といった保健管理系の業務まで、さまざまな業務をデジタルで管理できるようになります。子どもたちに配布するプリントを印刷する頻度も激減するでしょう。

効率化を進めることで、長時間労働の抑制が期待できます。

GIGAスクール構想のメリット・デメリット

では、GIGAスクール構想のメリットとデメリットを確認していきましょう。

GIGAスクール構想のメリット

上で挙げたようなGIGAスクール構想の目的や、別記事「GIGAスクール構想とは? 」でご紹介した効果以外にも、GIGAスクール構想を推進することで子どもたちや教員、保護者には以下のようなメリットが生まれます。

授業の幅が広がる

1人1台の端末が配備されていない環境では実現できないような、インターネットを利用した検索による調べ学習や、プレゼンテーションの作成やデジタル美術作品の制作、海外など遠方の学校とのビデオ通話を通じたコミュニケーションなど、アイデア次第で授業の幅が大きく広がります。

生徒同士、教員と生徒間の情報共有がスムーズになる

連絡事項や授業の内容、アンケートの回答、テストの返却、提出物の進捗状況など、必要に応じてさまざまな情報をデータでやり取りできるようになります。従来のように口頭やプリントなどでのやり取りよりも確実で履歴も残るため、管理がしやすくなりますし、集計なども簡単に行えるようになります。

GIGAスクール構想のデメリット

一方、GIGAスクール構想によるデメリットも見逃せません。主に子どもたちにもたらされると考えられるデメリットが、以下の2点です。

手書きによる学習機会が失われる

学習ツールが、これまでのようなノートと鉛筆からパソコンやタブレットに変わることで、手書きで文字や絵をかく機会が減ることから、手書き学習によるメリットが得られなくなるという危惧があります。

手書きには、何度も繰り返し書くことで記憶に残ることや、要約力、理解力などの向上が学習効果として期待できます。また、筆記具を使って書くことは、脳の活性化にも役立つといわれています。

手書きの機会が完全に失われるわけではないでしょうが、大きく減ることが予想され、これらの効果があまり得られなくなる可能性があります。

SNSトラブルなどのリスクに遭いやすくなる

GIGAスクール構想の推進以前から、子どもたちのSNSによるいじめや性犯罪被害、スマホ依存といったトラブルが表出していました。GIGAスクール構想推進によって学校にいる間もデジタル機器やインターネットに接するようになることから、こうしたトラブルのリスクが上がるのではないかという不安もあります。

まとめ

本コラム前半でご紹介したように、GIGAスクール構想実現によりさまざまな効果やメリットが期待されます。政府もそうした目的をもってGIGAスクール構想を推進してきました。GIGAスクール構想の実現で、日本の教育が大きく変わるかもしれません。

ただ、上でご紹介したデメリットに加え、実際に始まってから生まれてくる新たな課題もあるでしょう。対策を取りながら、うまく運用・活用していきたいものですね。

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執筆者情報

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