サブスクリプション型のサービスが増えた現代のビジネスでは、顧客の悩みに先回りして手厚いサービスを提供し、ユーザーの満足度を高めるカスタマーサクセスが注目されています。 ただし、企業のリソースは有限です。 すべての顧客や潜在顧客に対してカスタマーサクセスを提供したいと考えていても、どこかで提供するサポートの質や量を調整する必要が出てきます。 もちろん、ユーザーをどう分類してリソースを割くかは各企業の自由ですが、慣れないうちは何らかの方針がないと前に進めないという場合もあるでしょう。
本コラムでは、カスタマーサクセスを成功させるために必要な顧客の分類法である「タッチモデル」や、コミュニティタッチという考え方について解説します。
カスタマーサクセスにおける4つのタッチモデル
ハイタッチ
ハイタッチとは、もっとも利益率の高いユーザー層に対するカスタマーサクセス対応のことでいわゆる、大口顧客が対象となるケースが多いです。一般的に、顧客数としてはそう多くはありません。 高い利益が見込める分、ある程度、高いコストをかけて対応できるため、訪問による個別対応、個別プランの作成・提供など、コンサルティングに近い内容のサービスを提供することができます。
ロータッチ
ロータッチは、この後ご説明するテックタッチと先ほどのハイタッチとの中間に当たる層で、ある程度まではコストをかけられますが、顧客数はハイタッチに比べると多いため、セグメントしたグループごとの対応が取られるケースが多いです。 グループ単位での勉強会や研修といった対応があります。
テックタッチ
テックタッチとは、想定されるLTVが最も低い層です。ただ、数としては最も多いため、軽視できない層でもあります。 あまり多くのコストはかけられないので、チャットボットなどのツール(=テクノロジー)による対応が中心になります。
コミュニティタッチ
コミュニティタッチは、一人ひとりのユーザーではなく、「コミュニティ」という集団単位で関わるカスタマーサクセスの対応方法で、上記に挙げたようなLTVによる区分けはありません。 企業が自社ユーザー向けのコミュニティを作り、適切なサポートやツール、情報の提供を行えば、コミュニティの自主的な成長を期待できます。 コミュニティと一体感や連帯感、信頼感を深めていくことで、結果としてことでハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの満足度向上を目指すのが、コミュニティタッチの目的です。
カスタマーサクセスでコミュニティタッチが注目される背景
カカスタマーサクセスでコミュニティタッチが注目されている理由は、企業にとってコミュニティの重要性が高まっているからです。 多くの消費者が広告を邪魔なものだと感じる反面、所属しているコミュニティのユーザーによる善意の口コミは、ノイズになりません。そのため、購買活動につながりやすいといえます。 さらに、自社商品のユーザーに直接製品に対する意見を聞くことができれば、よりリアルなニーズにもとづいた改善が可能です。
ただ、コミュニティが自然発生するのを待っていたのではマーケティングに活用できないため、企業が立ち上げ、コミュニティマネージャーとして適度に介入して活性化させ、コミュニティをユーザーにとって居心地が良く、企業にとっても有用な場となるよう調整していく必要があります。
カスタマーサクセスでコミュニティタッチを取り入れることで得られる効果
カスタマーサポートのコストを下げられる
従来の「ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチ」のみのタッチモデルには、次のような問題がありました。
- ハイタッチ層のサポートを手厚くしすぎると、利益が減ってしまう
- ハイタッチ層に注力した結果、ロータッチやテックタッチへのサポートができなくなる
- ロータッチ・テックタッチをフォローしすぎ、ハイタッチ層の解約率が上がってしまう
- ユーザー数の増加に対応できなくなれば、ハイタッチだけでなくロータッチ・テックタッチも離れてしまう
上記のような課題が出てくるのは、「企業のリソースが有限である」からです。 そこへ、コミュニティと一体感を深めてコミュニティ内でのやり取りを活発化してもらうコミュニティタッチを追加することで、ユーザー同士で疑問を解決するなどのフォローをしてくれるようになります。 つまり、企業を介してユーザーをつなげることで、自社ユーザーに対するサポートのコストを削減できるのです。 また、コミュニティを通じて、既存商品の不満や気に入っているポイント、新製品に対する希望などを吸い上げることで、マーケティングに費やしていた時間や労力もある程度、抑えることができます。
口コミによる売上の増加
コミュニティタッチに成功すれば、ユーザーからの「善意の口コミ」を増やせます。 「信頼できる第三者の口コミ」がユーザーの購買活動において重視される現代のビジネスにおいて、肯定的なユーザーコミュニティの存在は、企業の営利活動を多方面から後押ししてくれるでしょう。 さらに、コミュニティとの対話や口コミを通じて商品・サービスの不満点を改善していけば、コミュニティ外でもマイナスの口コミを減らすことができるでしょう。 また、コミュニティが成熟し、ユーザーのほとんどがコミュニティを活用してくれるようになれば、ちょっとした理由では商品・サービスから離脱しなくなります。
まとめ
企業のリソースが有限である以上、カスタマーサクセスを実施していてもすべてのユーザーに十分なサービスを提供することはできません。このため、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチのどれに注力しても、一長一短でデメリットを引き受けることになります。 しかし、企業とユーザーや、ユーザー同士をつなげてコミュニティの自然な成長を目指すコミュニティタッチを加えることで、コストを抑えつつ顧客を新規開拓したり、サービスを改善・改良したりすることができるようになります。
企業がコミュニティを完全にコントロールすることはできませんが、コミュニティを上手に活用してサービスの解約率低下につなげましょう。
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