新たな職に就いたり、現在の企業で新たに必要とされる業務へ適応するために必要なスキルを得るための人材育成手法「リスキリング」。これまでにも人材育成・スキル獲得の手法は多々ありましたが、それらとはどう違うのでしょうか。
この記事では、OJTやリカレントの違いのほか、導入の仕方や注意点をご紹介します。リスキリングを取り入れようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
リスキリングとOJTやリカレントとの違い
従来の人材育成手法といえば、OJTやリカレントが挙げられます。これらとリスキリングとの違いはどのようなものか、一つずつご紹介します。
OJTとリスキリングの違い
OJTとは「On-the-Job Training」の略で、実際の仕事を通じてやり方を覚えたりスキルを身につける育成手法です。あくまで「今ある部署で」「今ある業務を通して」ということを基本としています。
それに対し、リスキリングは「今はない」または「今はできる人がいない」業務に関わる新たなスキルを身につけるための育成手法です。
リカレントとリスキリングの違い
リカレントは、学び直しによって得たスキルを現在の業務に活かすことに重点を置いた育成手法で、一般的には休職などを伴ってスキルを習得することを指す場合が多いです。
一方、リスキリングは新たな業務のためのスキルを得る、つまり現在の業務からは少しずつ離れていくことに重点を置いているのが特徴です。
リスキリングの導入の仕方
では、実際にリスキリングを導入する際には、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。ここでは、4つのステップに分けて解説します。
1:スキルの可視化
新たな業務に必要なスキルを身につけるには、まずは「どのようなスキルが必要か(これから必要になるか)」を把握する必要があります。
これからどのような事業を展開していくか、それによってどのような新しい仕事が生まれるか、その仕事に必要なスキルは何かを分析しましょう。必要なスキルが具体的であるほどリスキリングをスムーズに進められます。
次に、既存社員が現在どのようなスキルを持っているかの可視化を行います。これには、過去に経験したことのある業務や、自主的な学習・趣味で得たスキルなどを申告してもらう必要があります。
その際、部署や職種のみでは保有スキルを明確に判断しづらいため、具体的にどのような業務・学習・趣味などを経験したかを申告してもらうことが重要です。申告することにメリットが生じる仕組みづくりも考慮すると、協力が得られやすくなります。
2:学習プログラムの準備・提供
必要なスキルと社員が保有するスキルの可視化ができれば、誰にどのようなスキルを身につけてもらうかを判断することができます。そのプランを元に、最適なプログラムを準備しましょう。
日本では教育プログラムを社内で開発しようと考える企業も多いですが、リスキリングはOJTなどと比べてより専門性の高い内容が必要となる場合も多く見られます。内製化だけでなく、外部サービスの利用も積極的に検討するのがおすすめです。
たとえば、MicrosoftやGoogleなどの企業では、自社のクラウドサービスやビジネス向けアプリケーションを使いこなしてもらうための学習コンテンツを提供しています。
ほかにも、汎用的なデジタルスキルを習得できるプログラムを提供している企業や、個別に適切なプログラムを用意するサービスを展開している企業もあります。効率的にリスキリングを行うためにも、こういった外部サービスを利用することも考えてみましょう。
3:社員の学習を管理する
社員が新たなスキルを順調に獲得できるようにするためには、ただプログラムを提供するだけでなく、個々の進捗を確認したり学習を促進する必要があります。
進捗や理解度・到達度を管理する際には、学習管理システム(Learning Management System)が役立ちます。こういったシステムは、企業側だけでなく社員自身も学習の記録や獲得できたスキルを確認することができます。
また、学習に取りかかりやすくするための工夫も検討しましょう。海外企業では「Learning in the Flow of Work」という手法がよく使われています。これは「業務の流れの中における学習」という意味で、たとえば、普段使っているアプリケーションから学習プログラムへアクセスできるようにする方法などを指します。
業務中にアプリケーションを使っていてわからないポイントが出てきた際にワンクリックで学習プログラムへ接続できる仕組みなどがあり、学習に対する心理的なハードルを下げることができます。
4:スキルの実践での活用
学習によってスキルを獲得したら、次は実践に移ります。しかし、先行的にスキルの獲得を行ったものの、そのスキルを必要とする業務はまだ開始していないという場合もあります。
そのような場合には、例えば想定されるプロジェクトをトライアルとして行ってみる、新規プロジェクトなどが実現可能なものか調査・検証するフィージビリティスタディをしてみるといった内容でも十分です。
学習したスキルを実際に活用することで、よりしっかりと身につけることができます。小さなものでもかまわないので、学習したスキルを実践できる場を設けましょう。
リスキリングを導入する際の注意点
実際にリスキリングを導入する際には、注意するべきポイントがいくつかあります。ここでは、3つのポイントをご紹介します。
社内の協力体制の確立
リスキリングを統括する部署やDXを推進する部署などが単体で計画を進めようとしても、効率的なリスキリングは成し遂げられません。部署間の連携はもちろん、経営陣にリスキリングのメリットを伝えたり、実際に自ら取り組んで効果を示すなどして、賛同者を増やしましょう。
モチベーション維持の仕組みづくり
リスキリングは、参加する社員も手間や時間をかける必要があります。また、継続することでこそ効果が発揮される取り組みなので、インセンティブの用意や成長を体感できる仕組み、仲間同士で励ましあえる仕組みなど、モチベーションを維持できる環境をつくることがリスキリングの成功につながります。
自社にマッチしたプログラムの選択
リスキリングに使用するプログラム・コンテンツの選択を間違えると、期待通りの効果が得られない可能性も大きくなります。必要なスキルや社風などに適したプログラムやコンテンツを選ぶよう心がけましょう。
社内で適切なプログラムを選べるか自信がない場合は、実績ある外部の専門家に相談するのがおすすめです。コストはより多くかかりますが、オリジナルのプラグラムを作成してもらうという方法もあります。
まとめ
DX化の進むこれからの社会で非常に有効といえる教育手法・リスキリング。導入の際はOJTやリカレントなど他の手法との違いをしっかりと把握し、適切に取り入れられるよう注意点もチェックしておきましょう。
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