どのような業界においても成果を上げ続けるためには、新人教育や所属するスタッフのスキルアップなど、教育と学習が欠かせません。そのため、多様なメリットを持つeラーニングの活用はさまざまな業界に広がっており、今まさに導入を検討している企業も数多く存在します。
しかし、eラーニングの導入には、いくつかの課題があります。導入を検討する場合は、それらの課題について理解しておかなければなりません。
需要の広がるeラーニング市場
2018年度における国内のeラーニング市場規模は、前年度比9.3%増の2,185億円規模でした。
そのうち法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場規模が同4.8%増の650億円、個人向けのBtoC市場規模が同11.2%増の1,535億円です。BtoB、BtoC両市場ともに市場の拡大傾向は継続しています。
eラーニング普及の追い風となっているのが、スマホやタブレットといった端末の普及や学習ツールの多様化、クラウド環境の整備、ネットワーク環境の向上などです。こういった複数の要素の影響で、eラーニングは一般的な学習形態のひとつとして浸透してきました。
BtoCサービスでは学習塾や予備校などで提供される進学や成績向上を目的とした映像授業、通信教育サービスで展開される双方向型学習コンテンツ、オンライン語学レッスンなどの需要が高まりを見せています。これまでにあった学習コースの一部に動画解説やチャットによる質問ツールなどを組み合わせることで、さらに理解度を深めるというサービスも増加しつつあります。
働き方改革関連法の施行も追い風に
2019年4月、「働き方改革関連法」が施行され、生産性の向上や業務効率化を追い求める動きが加速しました。残業時間を抑制する機運も高まっており、生産性をアップするための業務マニュアルなど、eラーニングに対してもこれらにつながるコンテンツの需要が高まると予測されています。
通勤時間が発生しない在宅勤務など、テレワークの導入にあたっての業務マニュアルでもeラーニングには期待が集まっています。
管理者側の課題
このように普及が進み需要が高まるeラーニングですが、実際に人が一か所に集まるわけではないので、集合研修と全く同じことができるわけではありません。集合研修をeラーニングに置き換える場合、管理者側に関して次のような課題が考えられます。
質疑応答
たとえば、集合研修なら目の前に講師がいるので、わからないことがあればすぐにその場で質問し、答えを聞くことができます。しかし、eラーニングだと講師は同じ場所におらず、1人で学習を進めているため即時に質問ができません。
この場合、チャットツールを併設したLMS(Learning Management System:学習管理システム)を導入してチャットで質問を受け付けたり、別途質問に対応する窓口を設けたり、SNSのメッセージ機能を活用したりすることで問題が解決できます。
質疑応答に時間がかかると面倒になり、その間に受講者のモチベーションが低下する可能性が高くなってしまいます。できれば別のシステムを使って質問を受け付けるのではなく、LMSのシステムで対応する方法がおすすめです。
受講者のモチベーション維持
eラーニングは受講者が一人で受講を進めることになるので、モチベーションを維持することが難しいという欠点があります。他の受講者が努力している様子を見て、「自分も頑張ろう」と思うことはできません。
LMSのなかには進捗状況に応じてメールを配信する機能を備えているものもありますが、それ以外にも面談を実施したり、ランキングを発表したり、集合研修と組み合わせたりといった工夫が可能です。
反応が得られない
集合研修の場合、講師は生徒の反応を見ながら授業を進めている部分があります。生徒が頷いていれば理解してくれていることがわかりますし、首をかしげていればその部分をより深く説明できます。
しかしeラーニングでは、生徒のダイレクトな反応が得られません。表情や言葉による生徒からのヒントなしに、授業を進めていく必要があるので、理解度に応じた進め方ができないという問題があります。ビデオチャット機能などで反応を集め、コンテンツの改善に繋げると良いでしょう。
受講者側の課題
eラーニングの課題は管理者側だけのものではありません。受講者側にも次のような課題があり、解決のための工夫が求められます。
環境を整える必要性
「いつでもどこでも学習ができる」という点がeラーニングの大きなメリットですが、学習に集中するための環境は自分で整えなければなりません。集合研修では学習のために整えられた会場が用意されており、そこに行けば日常から切り離された環境で、学習に専念できます。
以前は受講端末をどう用意するかという点もよく問題になっていましたが、現在ではスマホやタブレットといった端末の普及が進み、この点はほぼ問題にならなくなりました。
学習意欲維持の問題
eラーニングは教室での受講と違い、常に1人で受講することになります。たとえ同じ科目を受講している友人がいても、進行度が人によって異なるため一緒に受講することは基本的にできません。誰にも何も指摘されない状態が続くと、ついやるべきことを後回しにしてしまう人が多いのではないでしょうか。
このように学習意欲の維持が難しいために、eラーニングを受講途中でドロップアウト(脱落)してしまう人は数多くいます。大学の単位取得がかかっているコースであってもドロップアウトが後を絶ちません。
LMSのなかには個別の受講者の進行度をチェックする項目があるので、進行が遅れていることは管理者側に伝わります。「最近受講していないな」「進行のスピードが下がってきたな」という受講者がいたら、管理者側から働きかけるなどの工夫が必要です。
まとめ
業務の動画マニュアルや製品の使用説明など、さまざまな面で企業でのeラーニング導入は実際に進んでいます。普及するにしたがってどのようなコンテンツにすればより高い学習効果が得られるのかといった研究も進んできました。
管理者側にも受講者側にも導入にあたって課題が残っていますが、ご紹介したような工夫をすることで問題点を一つひとつ解決していくことは十分に可能です。それぞれの立場における問題点と対応策を理解した上で、eラーニングを導入しましょう。
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