新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、従来は対面で実施していたセミナーをウェブ上で実施する「ウェビナー」が普及しました。以前からウェビナー自体は存在しており、そのメリットの多さから活用されてきましたが、コロナ禍で一気に浸透した感があります。
これを機に、ウェビナー実施を検討開始される企業様も多いでしょう。ただ、ツールやサービスが多く、最初はどれを使えば良いのか悩んでしまうかもしれません。
そこで本コラムでは、ウェビナーツールの選び方や、代表的なウェビナーツールの違いをご紹介いたします。
【関連記事】
ウェビナー普及の背景
冒頭でもお伝えしたように、ウェビナーは今回の新型コロナウイルス感染拡大を背景に一気に広がりを見せましたが、それ以前からも普及しつつありました。この背景にあるのが、「働き方改革の推進」と、ウェビナーを可能にした「デジタルツールの普及」です。
働き方改革の推進
少子高齢化が進み、将来的に労働人口が減少することを念頭に政府が打ち出した「働き方改革」。当初は残業時間の削減や有給休暇取得の義務化といった細部がクローズアップされがちでしたが、本来の目的は生産性の向上です。
誰もがいつまでも活躍できる社会の実現を目指す中で、就業場所や時間などにとらわれない柔軟な働き方が求められると同時に、労働者がスキルアップできるような環境を整備することも重要になってきます。
そこで、インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでも知識の習得が可能なウェビナーが求められるようになったのです。
デジタルツールの普及
いくらウェビナーのニーズが上がっても、具体的な手段がなければ実現しませんが、デジタル技術が向上して安価に利用できるICTが普及してきたことが、ウェビナー普及に拍車をかけました。
インターネットの通信速度が向上してデータ量の大きな動画をスムーズに配信できるようになったことも大きな要素です。
さらに、Web会議ツールやウェビナー開催を想定したツール、機能も充実しました。
ウェビナーのメリット
こうした背景に加え、現在もコロナ禍の追い風を受け拡大しつつあるウェビナーですが、オフラインでのセミナー開催にはない以下のようなメリットがあることも普及に拍車をかけています。
■主催者のメリット
- 集客の効率が高い
- 低コストで開催できる
- 受講者との信頼関係を築きやすい
■参加者のメリット
- 場所を問わず参加できる
- 複雑な内容でも理解しやすい
- 講師への質問がしやすい
【関連記事】
ウェビナーとは?―基礎知識とメリット・デメリット―
ウェビナーツールの選び方や各ツールの違い
では、実際にウェビナーを開催する際に利用するツールにはどのようなものがあって、自社に合ったツールはどう選べば良いのでしょうか。以下でご紹介していきます。
まずは、代表的な4つのウェビナーツールを比較してみましょう。
Cisco Webex Events | Skype | zoom | ネクプロウェビナー | |
---|---|---|---|---|
インストール | 必要 ブラウザ版では不要 |
必要 ブラウザ版では不要 |
必要 ブラウザ版では不要 |
不要 |
同時接続人数 |
|
|
|
不明 |
機能など |
|
|
|
|
サポート | 公式なサポートは英語のみ。日本のベンダーが日本語によるサポートを提供。 | 「Skype for Business online」のメインストリームサポートが2021年7月31日で終了予定。 | 公式なサポートは英語のみ。日本のベンダーが日本語によるサポートを提供。 | 当日立ち合いサポートのオプションあり。 |
無料版 | 有 | 有 | 有 ※「Zoom Webinar」には無 |
無 |
Cisco Webex Events
Cisco Webex Eventsは、シスコシステムズが提供するウェビナーツールで、無料プランでも同時最大接続人数は100名まで可能です。ただし、制限時間は50分まで。有料プランは、「Starterプラン」「Businessプラン」「Enterpriseプラン」の3プランが用意されており、それぞれ同時最大接続人数が150名、200名、カスタマイズ可能となっています。
有料ウェビナーにも対応しており、参加費はクレジットカードやPayPalによる支払いが可能です。
ウェビナーをはじめとするさまざまなオンラインイベントに活用できるツールです。
Skype(スカイプ)
Skypeは、マイクロソフトが提供している、無料で利用できるコミュニケーションツールで、音声通話とビデオ通話が可能です。
ウェビナーに活用できるビデオ通話では、最大で50名までの同時接続が可能。
通話の開始方法も、呼び出し音ではなくプッシュ通知に代わり、よりウェビナーで使いやすくなりました。
基本的には無料で利用でき、有料プランの「Skype for Business」がありましたが、2021年7月31日で終了予定です。
特に、海外にいる参加者とのウェビナーでコストパフォーマンスが高いツールです。
zoom(ズーム)
Web会議システムの代名詞ともいえるzoomは、無料でも使用できますが、3名以上の接続では40分の時間制限が設けられているため、ウェビナーで利用の際は有料プランの契約が必要です。
同時最大接続数は、プランにより100~500名までとなります。
また、zoomには、ウェビナー向けの「Zoom Webinar(ズーム ウェビナー)」が用意されています。
Web会議システムとしては無料プランも用意されていますが、Zoom WebinarはWeb会議システムの有料プランを契約すると契約できるようになるウェビナー用アドオンです。
Zoom Webinarでは、視聴のみの同時最大接続数は1万人。双方向性なら100名までが可能です。
ウェビナーに特化したツールらしく、参加者一覧の閲覧やカメラ・マイク操作はホスト・パネリストのみに可能だったり、参加者の分析・レポートを取できたりといった機能があります。
ネクプロウェビナー
ネクプロウェビナーは、インストール不要でWebブラウザから利用できるウェビナーツールです。
無料プランはなく、ライトプラン、スタンダードプラン、プレミアムプランの3つの有料プランが用意されています。
ライブ配信のほか、録画配信にも対応しており、配信代行にも対応しています。
ウェビナーをマーケティングに活用するためのサービスが充実しているため、ウェビナー未経験の企業でも企画から開催後の分析までサポートしてもらえます。
ウェビナーツールの選び方
上記でご紹介した以外にも、ウェビナーに活用できるツールにはさまざまなものがあります。これら多くのツールの中から、自社に最適なものを選ぶには、どのような点を見たら良いのでしょうか?
ここでは、3つのポイントをご紹介します。
参加人数に対応できる
前章でご紹介した4つのウェビナーツールにも、それぞれプランなどによって最大同時接続人数の上限に差があったように、ツールによって対応できるウェビナー規模は変わってきます。
想定しているウェビナーのターゲット層や内容などから参加者数を見積もり、余裕をもって対応できるツールを選びましょう。
想定しているウェビナーに必要な機能が揃っている
開催を検討しているウェビナーで想定しているプログラムや参加者とのやり取り、開催後に取得したい情報などから、必要な機能を洗い出し、それらが揃ったツールを選定しましょう。
- ライブ配信を想定しているのか、それとも録画配信を想定しているのか?
- 無料のウェビナーを開催するのか、それとも有料ウェビナーか?将来的に有料化するつもりはあるか?
- 質疑応答や挙手、アンケートなどは実施するか?
- 参加者のログや分析はどの程度までを求めるか?
など、直近のウェビナーと、将来的な予測も踏まえて、ある程度、拡張性のあるツールを選ぶことも大切です。
ユーザビリティが高い
ウェビナーツールを選ぼうとすると、開催経験が少ないほど、ついさまざまな心配が先に立ち、開催する側の視点が優先してしまいがちです。しかし、ウェビナー参加者にとって使いやすく快適なツールを選ぶことが、次回以降のウェビナー成功にもつながっていきます。
レビューサイトやSNSなどをチェックするほか、参加者視点でツールを操作してみて、操作性や使用感などを総合的にチェックしましょう。
ウェビナーを実施する注意点
最後に、ウェビナーを実施する前に知っておきたい注意点をご紹介します。
開催の目的を明確にし、効果測定を実施する
ウェビナーを開催する前に、改めてウェビナー実施の目的を明らかにしておきましょう。
一般的に、ウェビナーには、「製品やサービス等のプロモーション」「リードナーチャリング」「既存顧客に向けた限定勉強会」といった開催目的があります。
こうした目的を明らかにしておかないと、開催後の効果測定も適切に行えません。
なお、ウェビナーの効果測定に最適な指標としては、集客率や参加率、相談率、受注率、理解度・満足度などがあります。
自社が意図した目的に沿ったウェビナーを開催できたかどうか、具体的な数値で効果を測定し、次回以降のウェビナー開催の成功につなげていきましょう。
開催前の集客にも注力する
ウェビナーやセミナーの開催経験があまりないうちは、社内にハウスリストも少ないため、参加者を集めることが難しいこともあるでしょう。
ウェビナーの内容によっては大人数を集める必要がないこともありますが、集客人数に目標がある場合は、外部から著名な講師を招いたり、その分野で勢いのある企業と共催したり、Web広告を出稿するなどして集客にも注力しましょう。
開催中の騒音に注意
ウェビナーのメリットの一つに、セミナーのための会場を確保する必要がない点が挙げられますが、その分、かえってセミナーの開催場所に対するジャッジが甘くなってしまう傾向も見られます。
特に、セミナー講師が一人の場合は、パソコンを1台置けるだけのスペースがあれば済んでしまいますが、それがオフィスの一角だったり、講師の自宅から発信する場合は、周囲からの騒音に配慮しましょう。
ウェビナーに周囲の笑い声や話し声が入ってしまうと、参加者の集中力は途切れてしまいます。開催中は、講師の周辺に極力、部外者を近づけないようにしましょう。
静寂な場所の確保が難しければ、ウェビナー用に会議室などを借りるという手もあります。
まとめ
オフラインでのセミナー開催が激減する中、ウェビナーがニューノーマルになりつつあり、取り組む企業が増えています。
同時に、ウェビナーを実現するためのツールにもさまざまなものが出てきました。特に、後発のツールはシェアの高いツールとの差別化を図り、かゆいところに手の届くニッチな機能が付いているものも見られます。
自社のウェビナー開催目的やターゲット層などに合わせ、どのツールがマッチするのかを見極める必要があるでしょう。
適切なサービスを活用し、ウェビナー配信を成功させましょう。
法人向オリジナル動画配信プラット フォーム
UIshareのサービス資料
動画配信プラットフォーム UIshareの総合サービス資料です。
特徴、機能、金額の詳細をこちらのサービス資料にまとめています。