2019年4月より施行の「働き方改革関連法」や新型コロナウイルスの世界的な流行によるテレワーク推進の状況を受け、一人ひとりの働き方や社員教育のあり方を見直す企業が増えています。
通常業務をリモート化しようとする動きにともない、人材育成において欠かせない各種の研修についても、従来の集合型でなくインターネット回線を利用して行われる「オンライン研修」が注目されています。
オンライン研修の最大のメリットは、時間的・空間的な制約が少ないことからコストの削減につながる点、また、教育の質の均一性を保つことで従業員が平等に学ぶことができるという点です。
本コラムでは、オンライン研修の特性と活用方法、事前に知っておきたい注意点をあわせて解説します。オンライン研修を導入される際のご参考になれば幸いです。
オンライン研修とは?
オンライン研修とは「Web研修」とも呼ばれ、Web上で行われる研修のことです。おもにWeb会議システムをインストールしたPCやスマートフォンなどを利用することで受講できる研修を指します。
オンライン研修の最大のメリットは、インターネット回線がつながる環境とWeb会議システムなどのツールさえあれば、受講者がどこにいても研修内容を視聴できるという点です。
オンライン研修には「録画型」と「ライブ配信型」とがあります。録画型は事前に録画した講義内容を受講者が視聴することで研修を行うもので、社員研修を中心にさまざまなオンライン学習の場で活用されています。ライブ配信型はインターネットの普及によって発達したもので、おもに塾や予備校などのスクールで利用されています。講義の内容をライブ配信することにより、複数の教室や拠点で同一の内容をリアルタイムに学習することができます。
また、オンライン研修には特定の会場に複数の受講者が集まって参加する「多拠点参加型」と、各自がオフィスの自席あるいは自宅で受講する「個別参加型」に呼び分けられることがあります。
オンライン研修の活用方法
オンライン研修にはコストや労力を削減できるというメリットがありますが、実技やワークショップ、ビジネスマナー研修におけるロールプレイングなどを伴うカリキュラムには基本的に適していません。ディスカッションやグループワークの実施にも限界があり、受講者同士の交流がしづらいという点もデメリットになる場合があるでしょう。
では、オンライン研修はどのような場面でどのように活用するのが良いのでしょうか。オンライン研修ならではの特性を活かした具体的な活用方法をご紹介します。
全社共通で必要な教育の実施
関連業界の重要なニュースや新しい法律・制度、社内規定やマニュアルの更新など、全社共通で知っておくべき知識の共有にはオンライン研修が有効です。
ライブ配信による研修を録画しておけば、当日参加できなかった社員が後日、個別に学習することが可能です。スケジュール調整がしやすいため、管理職の負担を減らすことにもつながるでしょう。
社員の資格取得・スキルアップ
体系的な知識の習得が必要となる資格取得講座は、オンライン研修での学習に向いていると言われます。インターネット上に録画型のオンライン講座を設けておき、必要な社員が必要な内容を都合のよい日時に受講できるようにすると良いでしょう。
「習熟度チェック」の実践
オンライン研修を受講させるだけでは、各自の習熟度の把握は難しいものです。そこで、習熟度チェックが可能なテストなどのシステムを用意し、研修後に実践すると良いでしょう。
振り返りの機会を設けることで、受講者の集中力やモチベーションを上げることにもつながります。
ディスカッションとの併用
録画型のオンライン研修後に、ライブ配信のディスカッションを行うケースもあります。
オンライン研修の特性を生かして、一斉一律実施で基礎的な知識の学習をできるようにし、その後にライブ配信で受講者同士の対話や講師への質疑応答を行うことで、学習の内容をより深め、定着度を高めることができるでしょう。
集合型研修との併用
オンライン研修で基礎的な学習内容をカバーし、その後、集合型研修を行って受講者同士のグループワークやロールプレイング、ワークショップなどの実技的なカリキュラムを実践するケースもあります。
基礎知識は事前のオンライン研修で習得済みとなることから、各自の思考やアイデアが深まり、最終的に学習・実習内容がより進んだものになることがねらいです。
オンライン研修の注意点
オンライン研修を効果的に活用するためには、機材やシステム・教材コンテンツの準備を万全にするのはもちろんのこと、対面の研修とは異なり、受講者がセルフマネジメントできるよう留意する必要があります。オンライン研修を実施する際の注意点は次の通りです。
研修内容に合ったシステムを選定する
研修の内容や受講対象により、録画型・ライブ配信型のどちらが適切かを判断し、どのようなシステム(Web会議システムなど)が最適であるか検討したうえで、選定します。
事前の準備を万全にする
オンライン研修ではインターネット回線やPC、マイクの設定と確認が必要です。機材やシステムの不備のために研修が中断するなどのトラブルを避けるため、遅くとも実施の前日までにネットワークへの接続テストをしておき、マイクやカメラなど各機材の動作確認をしておきましょう。
資料やテキストを使う場合は、各拠点・各人に事前に確実に配布できるようスケジューリングします。
顔出しでの受講を基本とする
オンライン研修をより有効なものにするためには、「顔出し受講」を原則とすると良いでしょう。音声とチャットのみで参加することに比べて受講者の緊張感が高まり、おたがいの顔が見えることでグループワークを行う際の臨場感も高まります。
なお、「顔出し受講」を実施する際には、事前に受講者の了承を得ることが必要です。カメラを常時オンにすることがプライバシー上の問題などで抵抗があるという場合は、Web会議システムの「バーチャル背景機能」などを利用し、ダミー画像による背景の前に本人の姿だけが見えるよう設定するのがおすすめです。
受講者が能動的に受講できるよう工夫する
一人ひとりの受講者のモチベーションや受講の姿勢には差があるものです。受講者のセルフマネジメントを促すためには、「オンライン研修前の予習→オンライン研修→後日、習熟度チェックテストを実施→復習」といったステップを踏ませることも有効です。
インプットとアウトプットを意識し、しっかりと振り返りの機会を持つことで研修の効果が全体的に上がることが見込めます。
まとめ
従来の集合型研修からオンライン研修への移行は、昨今の社会情勢の影響を受けて急速に進みつつあります。しかし集合型研修が完全になくなることはなく、今後はそれぞれの特性を活かせるよう組み合わせて活用することが主流となるのではないでしょうか。
オンライン研修の企画と実践にあたっては、まずはWeb会議システムの使い方を理解し、ここに挙げたような注意点を事前に確認しておくことが大切です。自社内の基盤が整備されるまでは、専門知識を持つ外部のコンサルタントの協力を得ても良いでしょう。
集合型研修の実践が難しい今だからこそ、人材教育の新しいかたちとしてオンライン研修を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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