新型コロナウイルス禍で一気に浸透した感のあるリモートワーク。
ただ、セキュリティ対策や勤怠管理などがネックとなり、まだ未導入という企業様もいらっしゃるでしょう。
「リモートワーク=在宅勤務」というイメージが強いかもしれませんが、リモートワークにもいくつかの種類があります。
本コラムでは、改めてリモートワークとは何か、導入のポイントや注意点はどこにあるのかを解説いたします。
そもそもリモートワークとは?
リモートワーク(remote work)とは、従業員が会社へ出社せずに自宅やサテライトオフィスなど、会社から離れた場所で業務を行う働き方を指します。
英語の「remote」には、「遠方の、遠く離れて」といった意味があり、リモートワークは「会社から遠く離れた場所で仕事をする」という意味で使われています。
リモートワーク実現の背景には、インターネットやICTの発達により、遠隔地にいても会社にいるのと変わらない効率で業務を行えるようになったことがあります。
リモートワークとテレワークの違い
リモートワークとでは、リモートワークとテレワーク(Telework)は何でしょうか?
結論からいえば、日本において使われる両者の意味に違いはほとんどありません。強いていえば、リモートワークの場合は会社に自席がないなど、会社以外の場所を中心とした働き方を指すケースが多く、テレワークは週に何日か自宅で勤務するなど会社を中心とした働き方を指すことが多いようです。
テレワークという言葉は、1973年当時、米航空宇宙局(NASA)の通信システムを設計するプロジェクトに従事していたJack Nilles氏によって作られました。Nilles氏が同プロジェクトを通して、テレワークにより従業員の通勤時間を削減できることに気づき、自身を始め、メンバーに家で仕事をすることを許可したといいます。
その後、米国では、大気汚染や通勤渋滞の問題を解消するためにテレワークが推奨されるようになりました。広大な土地を持ち、IT先進国である米国とテレワークは相性が良く、2012年の推計では、米国の労働人口の約40%に当たる5,000万人以上の労働者が、労働時間のうち少なくとも一部でテレワークを実施しているとされています。
日本では、政府が2005年に「テレワーク推進フォーラム」を立ち上げており、公式に使用される言葉も「リモートワーク」ではなく「テレワーク」であるケースが多いです。
また、現在の「一般社団法人 日本テレワーク協会」が、2000年に前身の「社団法人日本サテライトオフィス協会」から名称変更により誕生しています。
リモートワークと在宅勤務の違い
では、リモートワークと在宅勤務の違いは何でしょうか?
結論からいうと、在宅勤務はリモートワークの一形態で、リモートワークのうち自宅で業務を行う場合を指します。
もともと、日本政府がテレワークを推奨し始めた段階で、テレワークの実施方法の一つとして在宅勤務が想定されていました。インターネット回線の高速化やICT機器の普及と低額化という背景もあり、在宅勤務は拡大しました。
リモートワークの種類
冒頭でもお伝えしたように、リモートワークにはいくつかの種類があります。
ここでは、3つの区分でそれぞれリモートワークの種類をご紹介します。
1.業務を実施する場所による分け方
まずは、リモートワークを実施する場所による種類分けです。
在宅勤務
従業員の自宅を利用して業務を行う方法です。
業務に使用するインターネット回線やPC、デスクやチェアといった備品は、従業員の私物を利用するケース、会社が支給するケース、もしくは「在宅勤務手当」などとして一部費用負担を行うケースがあります。
従業員が業務のためにどこかへ移動する必要がないので、通勤にかかる時間・交通費を節約できるほか、自宅のライフラインが保たれていさえすれば、パンデミック下や災害下でも業務を継続できる点がメリットです。
サテライトオフィス
本社や支店といった会社の拠点以外に会社側で用意した公式なオフィススペースです。グループ企業同士で共同のサテライトオフィスを用意するケースのほか、企業によってはレンタルスペースやシェアオフィスなどと契約している場合もあります。
オフィスとして業務に必要な設備を揃えているため、業務がスムーズに行えるというメリットがあります。
コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェなど
自宅でもサテライトオフィスでもないスペースでの勤務です。インターネット回線があれば勤務が可能なことが多いですが、基本的に、自社の従業員以外の人間がいる場所での勤務となるため、書類やモニター画面の覗き見や、通話内容などにも注意が必要で、上記2箇所での勤務以上に情報漏えいに対する対策が必要になります。
2.リモートワークの頻度による分け方
次に、リモートワークの実施頻度による種類分けです。
フルリモートワーク
リモートワークが中心で、必要に応じて時に出社することもあるという形態のリモートワークです。出社しなくても業務に支障の出ない職種で実施されることの多いスタイルです。
ハイブリッドリモートワーク
週に3日は出社、2日はリモートワークなど、リモートワークを限定的に実施するものです。日本では、コミュニケーション不足などを解消する目的で採用している企業が多いスタイルです。
3.非正規従業員に対するリモートワーク
最後は、主にリモートワーク対象の従業員が非正規雇用である場合の種類分けです。
リモート・アウトソース
正社員を対象とするリモートワークではなく、業務委託などにおいて、会社に出社させずに業務を依頼するタイプのリモートワークです。案件ごとに契約するケースが多いです。
テンポラリー・リモートワーク
こちらも正社員を対象としたものではなく、契約社員などの非正規雇用で介護や育児などを理由に短時間、リモートワークで業務を行うタイプです。
また、正社員が突発的事態の対処のために休日に短時間、自宅でリモートワークを行うケースなども該当します。
リモートワーク導入のポイントと注意点
最後に、これからリモートワークを導入する企業様、もしくはすでに導入済みで課題を抱えている企業様のために、リモートワーク導入のポイントと注意点をご紹介します。
リモートワーク導入のポイント
まずは、リモートワーク導入のポイントからご紹介しましょう。
業務フローの見直し
単に就業場所をオフィスから自宅やコワーキングスペースなどへ変更しただけでは、業務に支障が出るケースは少なくないでしょう。たとえば、紙ベースで業務を進めていたり、各自の業務の進捗状況を上長が声をかけて確認していたりといった場合などは、リモートワークに向けて業務フローを変更する必要があります。
ただ、この変更はリモートワークのためだけではなく、出社時の業務も効率化されるような、双方ともにメリットのあるものにするのがベターです。
セキュリティ対策
リモートワーク導入の際に一番のネックといっても良いのがセキュリティの問題ではないでしょうか。
出社時は、オフィスの社内ネットワークに接続していればセキュアだったところが、リモートワークになると社外のネットワークが業務に使われるようになり、VPNなどを利用して社内ネットワークに接続させる必要が出てきます。
ただ、時代は「境界型セキュリティモデル」から「ゼロトラストセキュリティモデル」へと変遷しており、リモートワーク導入を機にセキュリティ対策について再検討するのが得策かもしれません。
セキュリティの高さとユーザビリティのバランスを取ることも大切で、従業員にとって利便性の低い運用をしてしまうとシャドーITの問題が起きてしまいます。
リモートワーク導入に当たっては、情報システム部門を中心に自社に合ったセキュリティ対策を検討する必要があります。
勤怠管理
勤怠管理の方法も、出社時とリモートワーク時では大きく異なります。
オンライン上で打刻ができるシステムを導入する、業務の中で定時報告をさせるなど、リモートワーク用の勤怠管理方法を検討する必要が出てきます。
なお、「目が行き届かなくなると、サボる社員が出てくる」といった心配がある一方で、逆に長時間労働が問題になる社員も出てきます。
職種によっては、リモートワーク導入を機に、時間ではなく成果で評価する方法に切り替えるのも一つの方法です。
リモートワーク導入時の注意点
では、リモートワーク導入時の注意点は何でしょうか?
ここでは、3つの注意点をご紹介いたします。
コミュニケーション不足に注意!
リモートワークを実施する頻度にもよりますが、特にフルリモートワークのメンバーは自宅などで黙々と業務に取り組むことになり、コミュニケーション不足が課題になる可能性が高いです。
Web会議システムなどによる朝礼・終礼や、音声チャットツールの導入、オンライン飲み会の実施など、業務上必要なコミュニケーションのほか、顔を合わせてのコミュニケーションや声によるコミュニケーションを取れる機会を増やし、ささいな疑問を解消したり雑談ができたりするような環境を整えると良いでしょう。
長時間労働に注意!
出社からリモートワークへ切り替わると、削減できた通勤時間の分を業務に当ててしまう人も出てきます。
リモートワークになると、従業員の勤怠管理もオフィスにいる時とは異なる方法で行う必要が出てきますが、特に、長時間労働になっていないかに注意を払う必要があります。
在宅勤務の場合、従業員にとっては、慣れた環境でリラックスして業務に迎えるというメリットがある反面、プライベートと仕事の切り替えがしづらく、ストレスを抱えてしまう人もいます。
その点を踏まえて、会社として可能な対策を実施しましょう。
研修やスキルアップの機会を減らさないように注意!
出社時は、定期的に実施される研修のほか、オンジョブでのトレーニングなど、研修やスキルアップの機会がたくさんありますが、リモートワークになると激減してしまいます。
研修のために出社する機会を設けるほか、在宅などリモートワークでも個々にスキルアップが図れるようなオンライン講座や動画教材などを用意し、スキルアップの機会を減らさないように配慮しましょう。
まとめ
リモートワークについて、概要や種類、導入のポイントなどをご紹介しました。
新型コロナウイルス感染拡大を機に、昨年からリモートワークを導入している企業も増えてきてはいますが、環境整備やルールの変更などさまざまな課題もあり、なかなか導入に踏み切れていない企業もあるでしょう。
まずは、トップがリモートワークの基本について理解し、導入できるところから部分的に導入してみるなど、柔軟な対応も検討してみてはいかかでしょうか。
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