経営者が企業を経営する限り、企業は活動し、従業員は業務を行います。その中で、自然とナレッジやノウハウが発生します。ただ、経験などから得られた暗黙知は、意識的に言語化されなければ、共有しやすい「形式知」として蓄積することはできません。
ナレッジを共有することの重要性やナレッジマネジメントの基本などについては、当メディア上でも何度か取り上げてきましたが、今回は実際にナレッジ共有を実現する手段として、おすすめのITツールもご紹介いたします。
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ナレッジマネジメントが広まる背景
ナレッジを共有する目的や得られるメリットとしては、大きく下の3つがあります。
業務効率化の実現
業務を行ったり、業務の中で突き当たった課題を解決するに当たり、同じもの、または似たようなものに複数の従業員が向き合うケースも出てくるでしょう。その際、個々に正解を探して試行錯誤することは、個人の経験としては意味のあるものですが、企業側から見た場合は必ずしも必要ではないということも多いもの。
極端な例でいえば、「マニュアルが整備されていれば、もっと早くクレーム対応ができて、顧客満足度を高められたのに…」といったケースです。クレーム対応ほど重要なものであれば多くの企業ですでにマニュアル化され、共有されているでしょうが、盲点となりがちなものとして、たとえば、すでに社内の誰かが作っている資料と似たような資料を複数の社員が作っているような例が挙げられます。
こうした無駄な仕事を減らせれば、業務効率化につながります。
生産性向上の実現
生産性向上には前項の業務効率化も含まれますが、社内でナレッジを蓄積・共有することで、製品・サービスの改善案や、新商品などの企画、売上向上といった創造的な業務にもつながり、さらなる生産性向上が見込めます。
業務を属人化させない
仮にナレッジが共有されないとすると、知識や知恵は従業員それぞれの中にしか蓄積されません。すると、ナレッジを活用できるのはその人だけであり、部署異動や退職などでいなくなってしまえばナレッジは消えてしまいます。
もっといえば、その人が休暇や外出などで会社にいない間はナレッジが活用されない状態となり、大変もったいないことです。
これらはナレッジが属人化しているために起こる問題です。人とナレッジを切り離し、ナレッジを蓄積・共有することで解決できます。
ナレッジ共有におすすめのツール
ナレッジ共有の方法として考えられるのは、ナレッジをドキュメントや動画などにまとめ、それらのファイルを会社のファイルサーバーなどに格納して従業員がアクセスできる状態にしておくといったものです。
ただ、日々、各従業員がナレッジを追加したり、検索・閲覧したり、管理者がナレッジを棚卸するなど整理しながら運営していくことを考えると、ナレッジ共有を用途として想定して開発されたITツールの活用がおすすめです。
ナレッジ共有ツールの種類
ナレッジ共有に活用できるITツールにはさまざまなものがあり、機能や使い勝手もいろいろです。
大きく以下の4種類に分類できます。
ナレッジ共有ツール
ナレッジ共有のために利用することが想定されたITツールです。
ナレッジ共有に特化しているため、ナレッジ共有に必要な機能が一通り揃っているものが多く、複数人での同時編集などにも対応しています。
社内Wiki
インターネット辞典として無料提供され、世界300言語で利用できる「Wikipedia(ウィキペディア)」になぞらえて、社内のナレッジをまとめ、従業員がいつでも利用できるようにしたものが「社内Wiki」です。
シンプルなツールで、社内Wikiさえ立ち上げれば検索ですべてのナレッジにアクセスできます。
社内SNS
ビジネス用のSNSで、従業員しかメンバー登録されていないものが社内SNSです。
チャットタイプのものが多いですが、ナレッジなど重要な情報はタイムラインで流れてしまわないよう、ボードとして固定できるような機能があり、それを利用してナレッジを蓄積します。
グループウェア
グループウェアとは、チームでの業務をスムーズに行うためにコミュニケーションを取るためのITツールのことです。プロジェクトによって参加メンバーは異なり、必ずしも同じ部署で近くにいたり、業務時間が同じとは限らないため、場所や時間を超えてコミュニケーションを取れる機能が充実しています。
ナレッジを共有するほか、自分が知りたい情報を持っているメンバーを探し出す機能などが付いているものもあります。
おすすめのナレッジ共有ツール
ナレッジ共有に活用できるITツールから、具体的なおすすめをご紹介いたします。
flouu(フロー)
flouuは、社内に散在している文書や情報を集約し、オンラインのワークスペースを提供するサービスで、ナレッジマネジメント機能のほか、コミュニケーション機能とドキュメンテーション機能が付いています。
Slack(スラック)やGoogleドライブなどとの連携も可能です。
料金体系はユーザー数課金で、1ユーザーの月額利用料金が550円/30日で、セキュリティオプション(550円/30日)を付けることもできます。
14日間の無料お試し期間が用意されています。
Qast(キャスト)
Qastは、クラウドタイプのナレッジマネジメントツールです。
直感的に操作できるシンプルなUIが特徴で、「Q&A」と「wiki」の2つの形式で社内のナレッジを蓄積・共有できます。
「投稿」「閲覧」「整理」「検索」の4つの観点で使いやすさが考えられた機能が搭載されています。
導入社数は3,000社以上。
料金は、利用ユーザー数の上限が5名までの「スモールメンバー」(2,250円/月)から上限100名までの「ラージ メンバー」(4万5,000円)までの5プランと、101名以上のエクストラがあり、金額は要見積となります。
それぞれのプランに30日間の無料トライアルが付いています。
Kintone(キントーン)
Kintoneは、クラウドタイプのグループウェアです。
自社の業務に合わせて、コミュニケーション機能とデータベース機能を持つオリジナルのアプリを作ることができます。
このデータベース機能を使ってナレッジを共有することになります。
日中英の3ヵ国語に対応しています。
導入社数は2万社以上。
料金体系はユーザー数課金で、1ユーザーの月額利用料金は780円/月のライトコースと、1,500円/月のスタンダードコースの2コースがあります。
30日間の無料お試し期間が用意されています。
Chatwork(チャットワーク)
Chatworkは、ビジネス用チャットツールで、社内外のユーザーでグループを作り、複数人でコミュニケーションを取りながら業務を行えます。
チャットツールでの会話は、やりとりが増える中でどんどん流れてしまいますが、「概要欄」や「タスク管理」、「ファイル管理」などの機能を使ってナレッジ共有が可能です。
導入社数は31万7,000社以上。
無料で使えるフリープランもありますが、作成できるグループチャットの上限が決まっているなど、機能制限があります。有料プランはユーザー数課金で、1ユーザーの月額利用料金が500円※のビジネスプランと800円※のエンタープライズプランがあります。有料プランは1ヵ月間の無料トライアルが可能です。
※ともに年間契約の場合
Zendesk for service(ゼンデスク フォー サービス)
Zendesk for service は、米国発のカスタマーサービスプラットフォームで、ヘルプデスクなどに活用されています。
顧客対応チームが顧客からの問い合わせに対して解決策を提供するためにナレッジマネジメントの機能が搭載されており、顧客向けの記事を作成する「チームパブリッシング機能」では、担当者を指名したり、レビューして公開することができます。
多言語対応しており、導入社数は世界で14万5,000社以上。
料金体系はユーザー数課金で、1ユーザーの月額利用料金が$19からプランが用意されていますが、ナレッジマネジメントの機能が使えるのは、月額利用料金が$79からとなっています。
無料トライアルも可能です。
ナレッジ共有を成功させるポイント
ではここで、ナレッジ共有を成功させるポイントを2点ご紹介いたします。
ナレッジ共有の目的とルールを社内に浸透させる
別記事「ナレッジマネジメントのメリットと気をつけるポイント」でもお伝えしましたが、実際にナレッジを言語化して蓄積したり、利活用する当事者である社員がメリットを感じて動いてくれなければ、ナレッジ共有は前進しません。
ナレッジ共有の目的を、得られるメリットを軸に社内に展開し、理解と賛同を得ることが最初のポイントになります。
また、ナレッジを利用するにも管理するにも、蓄積する形式や運用方法などをルール化して共有しておいた方がスムーズです。覚えやすく使いやすいシンプルなルールを整備しましょう。
ナレッジ共有の運用管理者を定める
蓄積したナレッジは、定期的に棚卸して整理したり、内容をアップデートしたりして、活用しやすい状態に保つ必要があります。似たようなナレッジが複数あって、どれを参照したら良いのかわからない状態だったり、古くてビジネス環境に合わなくなってしまったナレッジが放置されていたりすれば、従業員は「使いづらい」「有用なナレッジがない」と感じ、ナレッジ共有の場から離れてしまうでしょう。
運用管理者を明確に決め、その管理者を中心に運用していくことで、「古いナレッジが放置されている」といったことを回避できます。定期的に整理されたりアップデートされていれば、従業員も信頼感をもってナレッジを活用できます。
まとめ
ナレッジを共有の目的やメリット、実際にナレッジ共有に活用できるツールなどをご紹介しました。
ナレッジを共有することで、社内の業務改善や生産性向上につながります。また、ナレッジを通した従業員同士のコミュニケーションが生まれ、コミュニケーションの活性化も期待できます。
本コラムをお読みいただいたのを機に、自社に合ったナレッジ共有方法を検討してみてはいかがでしょうか。
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