自社に蓄積されていくナレッジは、会社の資産となり、社内で共有・活用することでさまざまなメリットを生み出します。
意識的にナレッジを言語化して蓄積・共有・活用するのがナレッジマネジメントです。
本コラムでは、ナレッジマネジメントが日本で広まる背景や、具体的なメリット、また、ナレッジマネジメントを進める上で気をつけるポイントについても解説いたします。
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ナレッジマネジメントが広まる背景
10年ほど前から少しずつ「ナレッジマネジメント」という言葉が聞かれるようになり、2021年6月現在では、Googleで「ナレッジマネジメント」で検索すると約346万件もの情報がヒットします。
日本でナレッジマネジメントが広まってきた背景とは何でしょうか?
日本人の属人的な業務習慣
製造業が戦後の高度経済成長期を支えた日本では、長年、ベテラン職人の暗黙知(経験などから得られた知識で言語化されておらず属人的なもの)が重宝されてきました。
その流れで、日本では従来、ベテランの仕事ぶりなどを見て学ぶことがよしとされ、暗黙知を積極的に明文化して共有・活用する取り組みは行われてきませんでした。
1998年に設立された「日本ナレッジ・マネジメント学会」のWebサイトにも、日本が過去に輝いた時代が4回ありながら、次に来る時代が内向きだったのは、輝いた時代の知識を次の時代の価値創造につなげられなかったためである旨の記載があります。
せっかく持っているナレッジを有効活用できなかった反省から、ナレッジマネジメントにより蓄積・活用していこうという意識がナレッジマネジメントを広める一つの背景になっているといえます。
働き方改革
2016年に、当時の安倍首相が設置した「働き方改革実現会議」に見られるように、安倍内閣は働き方改革を推進してきました。将来的に深刻化する少子高齢化により、労働人口の減少とそれに伴う経済衰退を回避するために、高齢者や障がい者を含む老若男女が、育児や介護、家事などとも両立しながら仕事に就けるよう、「柔軟な働き方」などを実現しようというものです。
働き方改革の中には、「長時間労働の抑制」や「休暇取得率の向上」なども含まれており、より少ない労働時間の中で、いかに効率良く、生産性を上げられるかといった点が議論されるようになりました。
これを実現する一つの方法として、ナレッジマネジメントに注目が集まり、社内で保有しているナレッジを有効活用していこうという動きがあります。
ナレッジマネジメントを行うメリット
では、ナレッジマネジメントに取り組むことで、具体的にはどんなメリットが得られるのでしょうか?
ここでは、2つのメリットをご紹介いたします。
業務効率化・業務改善につながる
社員が個人的にベストプラクティス(最善慣行)をナレッジとして保有していても、それが言語化されず、共有もされていなければ、会社の中でベストプラクティスを実行できるのはその社員しかいません。これを全社に展開することで、大幅な業務効率化につながる可能性があります。
また、複数の社員がそれぞれのナレッジをほかの社員に共有することで、自分では気づかなかった欠点を指摘してもらえる可能性も出てきます。「これがベストプラクティスだ」と思い込んで実行してきたことに対して、「そうではなかった」と気づくことができれば、業務改善にもつながります。
人材の異動に対応できる
せっかく業務や研修などを通して得られたナレッジも、言語化して蓄積・共有されないまま、その社員が異動したり退職したりしてしまえれば、その部署や会社から消えてしまったのと同じです。
しかし、ナレッジマネジメントを行って社内にナレッジを蓄積しておければ、人材がいなくなっても、ほかの社員がナレッジを引き継いで利用できるようになります。
人材育成がしやすくなる
上記とも関連しますが、ナレッジマネジメントによって蓄積・共有されたナレッジを新入社員に活用してもらうことで、短期間でより効率的・効果的な人材育成が可能になります。
市場競争の激化や働き方改革などによってなかなか教育に時間をさけなくなっている今、ナレッジマネジメントによって作成されたドキュメント等を教材に、新人が自力で学ぶことができれば、競争力強化にもつながるでしょう。
ナレッジマネジメントを進める上で気をつけるポイント
最後に、ナレッジマネジメントを進める上で気をつけたい点をお伝えいたします。
まずは社員の意識改革からスタートする
ナレッジマネジメントを実施する中で、実際にナレッジを提供してくれるのは社員、特に中堅以降のベテラン社員なります。それまで、会社の人事評価が個人主義や成果主義で行われてきたのであれば、評価方法の見直しも含め、「社員一人ひとりのナレッジを会社全体で共有して企業競争力を高めよう」というメッセージをトップから発信する必要があるでしょう。
そうでなければ、社員たちの意識改革が行われずに、個々の社員が有用なナレッジを囲い込んで社内での競争に優位に立とうとするでしょう。これでは、ナレッジマネジメントは進みません。
ナレッジを更新し続けることが重要
ベテラン社員たちのナレッジを言語化し、社内に共有できたら、定期的に更新する体制を作って運用していくことが大切です。企業活動が続く限り、内的環境も外的環境も変化し続けます。それに合わせ、ナレッジも最適なものに更新していく必要があります。
たとえば、いざ新入社員がナレッジをもとに学習しようとした時に内容が古すぎれば役に立たないばかりか、会社に対する信頼感も下がってしまいかねません。
ナレッジの一つに位置づけられるマニュアル類も、定期的なアップデートが必要です。
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ITツールを導入・活用する
ナレッジを蓄積するスペースを設けたり形式を統一したりする手間や、運営する中での社員たちの使いやすさ、更新作業のしやすさなどを考えると、ナレッジマネジメントに特化したITツールが最適です。
直感的な操作ができるもの、低価格から利用できるものも多いため、導入を検討してみても良いでしょう。
ナレッジ共有のためのツールについて詳しくは「ナレッジ共有のメリットと成功させるポイント! おすすめのツールもご紹介」もご覧ください。
まとめ
ナレッジマネジメントは、近年の働き方の変化や、ナレッジ共有を実現する手段となるITツールの発展もあり、広がりを見せています。
上でご紹介したように、ナレッジマネジメントを行うメリットは大きいものがあり、企業としての競争力を強化する一つの方法でもあります。まだナレッジマネジメントに取り組まれていない企業様は、この機会に検討されることをおすすめいたします。
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