
顧客対応において、少し前まで「CS」といえば「カスタマーサポート」を指しましたが、今では「カスタマーサクセス」を指すケースがほとんどです。
カスタマーサクセスとは、顧客がヘルプを求めて連絡が来てから初めて対応に動くカスタマーサポートとは異なり、日頃から能動的に顧客と関わりを持ち、顧客の事業を理解し、自社製品・サービスを顧客の売上・利益の向上に貢献させることで、継続率とLTVの最大化を目指すものです。
今回は、このカスタマーサクセスを実施するにあたり、理解しておきたい既存顧客のセグメント「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」についてご紹介します。
ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチを意識する重要性
カスタマーサクセスを実施する準備として、対象となる既存顧客をLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)の見込みごとにセグメントする必要があります。セグメント化しなければ、LTVの低い顧客にばかり手厚いフォローを行ってしまう事態になりかねず、費用対効果に見合わなくなる可能性が高まるからです。
具体的には、「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の三つの層に分けます。
・ハイタッチ…もっとも高いLTVが見込める層。いわゆる大口顧客などが該当します。
・ロータッチ…ハイタッチよりも顧客一件当たりのLTVが少し低めの層。
・テックタッチ…ハイタッチ、ロータッチよりも顧客一件当たりのLTVが低く、母数の多い層。
LTVは推測で問題ありません。それぞれのセグメントの線引きをどこでするかは各社の戦略に合わせて調整してください。
以下の章で、「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」それぞれでの顧客対応の考え方とアプローチ方法をご紹介します。
ハイタッチとは?
ハイタッチとは、自社の顧客層のなかでもっとも高いLTVが見込める層です。
将来的に自社に大きな利益をもたらしてくれることが期待できる分、ある程度の人件費をかけて個別での対応が可能になります。
ハンズオンでのオンボーディング、オンサイトでの保守サポート、顧客に合わせたカスタマイズやオリジナルプランの提供、製品・サービスの使用頻度が下がった際に再活用を促す、などが考えられます。
ロータッチとは?
ロータッチとは、ハイタッチに比べると、顧客一件当たりの価値は低いものの、最下層のテックタッチよりも価値の高い層で、LTVをどこで区切るかは各社次第です。
顧客対応は、ハイタッチと、この後で説明するテックタッチとの両方の性質を持ち、ハイタッチほど手厚い対応をしないまで、ある程度は個別対応を行うぐらいの手厚さで行います。
具体的な対応方法としては、対面・電話・メールでの応対、ワークショップやイベントの開催、トレーニングプログラムの提供などが考えられ、必要に応じて、ハイタッチやテックタッチの顧客対応手法も取り入れます。
テックタッチとは?
テックタッチとは、自社の顧客層のなかでもLTVがもっとも低く、数としてはもっとも多い層に当たります。
費用対効果を考えると、顧客一件ごとに手厚い対応をしていたのでは非効率的なため、テクノロジーを活用し、広範囲の顧客層に対してある程度、一律化した対応が必要になります。
メールや電話、Web会議システムやマーケティングオートメーション、チャットボット、動画共有システムなどを使ってリモートでの対応を行ったり、業種などでさらにセグメントした層への一斉案内を行う、オンラインコミュニティの提供といった手法が考えられます。
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効果的にテックタッチにアプローチする方法
テックタッチは、LTVが低いものの、顧客数が多いことから、効果的にアプローチして収益につなげたいところです。そこで少人数で対応し、人件費は抑え、自動化ツールなどの最新のツールを取り入れて、低コストで収益効果は最大限とすることを狙ってみましょう。
少人数でも効果的なアプローチをするポイントとは
少人数でも効果的なアプローチを行うには、いくつかのポイントがあります。
・工数をとにかく減らしてみる
ハイタッチのための丁寧な対応は、テックタッチに対しては、過剰な投資になり有害であるという意識を徹底させる必要があります。 なかなか「ひと手間抜いてお客様に対応する」という発想は、難しい面があるものですが、さらに減らすにはどうしたら良いのか、検討してみましょう。
テックタッチへのアプローチ手法の1つに、FAQの利用があります。FAQを顧客にアプローチする手段と捉えること自体が、もしかすると新しく感じられる方もいらっしゃるかもしれません。「FAQがあれば、いちいち電話やメールで対応しなくても良い」「放っていてもらった方がうるさくないし自分で調べられて良い、と考える顧客もいる」と発想を切りかえることが重要です。
そのほかにも、マニュアルを備えておく、動画での使い方解説などは、コンテンツの価値以上に、テックタッチにカスタマーサクセスをもたらすアプローチとして極めて重要なものです。一度作ると何度も利用できます。また、メンテナンスの工数も最小限で済みます。
・優先順位をつけて対応
テックタッチ層はすでにセグメント化した顧客のグループの1つですが、さらに、年齢・性別・居住地域などの属性の分類ができます。どこにアプローチすると1つの打ち手が最も効果的な結果に結びつくのでしょうか。
また、商品や、サービスはすべて同じ価値があるものではないことは当然ですが、そうだとすると対応の優先順位は商品・サービスごとに本当についているのか、考えてみましょう。
テックタッチ層を属性で分類する・手持ちの重点商品やサービスをまんべんなく売るのではなく、絞ってみるなどして、アプローチには優先順位をつけることを考えてみましょう。
優先順位が下の顧客には、追加の工数やコストはかけなくても良いことが多いものです。しかし、優先順位に無頓着でいるとついつい無駄な工数・コストをかけてしまうことがあります。
・1人当たりの処理数などのキーとなる数字を意識
少人数ではあるが、1人当たりの処理数が非常に多い・短時間の間にリーチできる顧客数が多く生産性が高い、ということがあらかじめわかっていると、チームの士気も上がります。1人当たりの処理数・工数など、数を常に意識しておくと効果的です
・最新のツールを活用し、フォローの手間を省く
フォローの手間を省くためのキーになるツールは、自動化ツールです。 自動化ツールには、たとえば自動架電・自動で回答するチャットボットなど、顧客とのコミュニケーションを自動で行うもの、あるいは人間の作業をサポートするなどがあります。また、MAツールのように一連のマーケティング施策をシナリオに従い自動で進められるツールもあります。
自動で業務にかかわる数字を分析ツールであるBIツールなども組み合わせるとより効果的であり、より正しく顧客にアプローチできるよう、さまざまな角度での分析結果を提供してくれます。どの顧客にアプローチすると効果的か、優先順位付けなどはBIツールの得意とするところでもあります。
こうしたツールがうまく使えれば、少人数でも一人当たりの負荷を小さくできて、アプローチできる顧客数と、施策は多くなります。
自動化ツールには、高価なものばかりではなく、月あたり数万円からクラウドで利用できるクラウドツールなどは中小企業にも使いやすいものもあります。
まとめ
カスタマーサクセスにおける「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の違いや顧客アプローチ方法についてご紹介しました。
一般的なカスタマーサクセスでは、顧客層をLTV で三つに分け、それぞれ異なるアプローチ方法で実施しますが、企業によっては全顧客にすべてのアプローチ方法を実施するところや、LTVではなく顧客のITリテラシーによって分けるところなど、各社の戦略によってさまざまにアレンジされています。
いずれにしても、階層化とテクノロジー活用によって、自社にとってもっとも最適化された“最高の顧客対応”を実現することができます。
カスタマーサクセスを導入していない企業も、この機会にテクノロジーを活用して顧客の成功体験を追ってみてはいかがでしょうか?
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